散歩道<3086>
opinion・09政権選択・8月30日の夜に・万歳より世界にメッセージ(4) (1)〜(4)続く
○ ○
私には30日の、投開票日の夜に期待したいことがあります。それは、勝者の弁とその行動です。
勝者は敗者にどんな呼びかけをするのでしょう。それとも、政党幹部が笑顔で当選者名に花をつけ、当確が出た本人は支持者と万歳三唱して勝利に酔う、そんな相も変わらぬシーンをまた目にするのでしょうか。今の日本に、そんなことをしている余裕はないはずですが。
昨年11月の、オバマの勝利演説を思い出します。極めて抑制的で、共和党批判は一切しませんでした。そして「私を支持しなかった皆さんの票は得られなかったが、声は聞こえています。皆さんの助けが必要です。私は皆さんの大統領にもなるつもりです」と呼びかけました。民主主義は多数決と同じではありません。むし勝者(多数派)が敗者(少数派)にどれだけ耳を傾け、信頼と共感を勝ち得ていくかによって真価が問われます。「数の論理」を盾に敗者を軽んずることは、19世紀のフランスの政治思想家トクヴィルが懸念した「多数派の専制」にほかなりません。
この数年、さまざまな国際会議に出ると、必ずと言っていいほど聞くのが「日本の政治的漂流」への懸念です、今回の選挙結果や勝者の弁は、海外でも必ず報道されます。日本は主要先進国の一つです。どうかこのことを忘れないで欲しい.勝った側の党首は国際社会へ向けて明確なメッセージを発して欲しい。日本の次の首相になる政治家には「これからの世界をどうしたいのか」を語ってほしい。内向きのメッセージしか発しないようでは失望を繰り返すだけです。
この夜から日本の新しい「ソフトパワー外交」は始まっているのですから。
'09.8.27.朝日新聞・慶応大学教授・渡辺靖さん
関連記事:散歩道・氏名・渡辺靖さん<922>時流自論・安全求め、分断進む米社会(3)<993>時流自論・「自省力」という国力(3)、<1061>時流自論・米「広報外交」の光と影(3)、
![]()