散歩道<3077>

                     社説  09総選挙に問う成熟日本に新産業革命を(3)             (1)〜(3)続く
               成長アジアの市場を共有する仕組みを作ろう  ・低炭素社会、超高齢化時代のリーダー目指せ

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 日本はこれからどうやって食べていくのか。政権選択をかけたこの総選挙では、そこが根底から問われている。だが残念なことに自民党も民主党も政権公約には大きな処方箋
(しょほうせん)がない。
 自民党は「10年度後半には年率2%の経済成長を実現」「今後3年間で40兆〜60兆円の需要創出」と数値目標を掲げた。民主党も成長戦略が不備との批判を受けて「内需主導型経済への転換」などの公約を追加した。しかし、いずれも実現の道筋を示してはおらず、戦略の全体像が不明確だ。
 経済成長のための戦略は、内外でもっと民間活力を引き出すとともに、政策の相乗効果を発揮できる総合設計とすることが必要だ。また国民の受益だけでなく、産業構造の転換に伴う痛みや負担増についても積極的に説明し、理解を求めなければならない。
 アジアを「共通市場」として反映させるには、日中韓を中心とする自由貿易圏づくりが課題となる。東アジア共同体や、アジア共通通貨構想も真剣に検討する時期を迎えている。
 一方、日米間での自由貿易協定(FTA)の推進も、避けて通れないテーマである。農産物の輸入自由化の試練を乗越えるために、減反廃止や戸別所得補償の導入など抜本的な農政改革が求められるだろう。
 日本とアジア諸国との物流もさらに太く便利なものにしなければならない。それには政府の途上国援助(ODA)も活用して、アジアの幹線道路や鉄道、港湾の整備などに計画段階から協力するのが効果的だ。
 試練を好機ととらえ、成熟時代の日本をつくり直す。新たな産業革命のための広い視野と構想力が、今ほど政治に問われている時はない。
                

'09.8.14.朝日新聞