散歩道<3076>
社説 09・総選挙に問う・成熟日本に新産業革命を(2) (1)〜(3)続く
成長アジアの市場を共有する仕組みを作ろう ・低炭素社会、超高齢化時代のリーダー目指せ
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それには、直面する三つの課題に取り組む必要がある。中国など新興国との競争と共生。超高齢化社会の克服。そして低炭素社会への改革だ。いずれも大きな関門だが、悲観する必要はない。見方を変えれば、どれも日本にプラスに転じられるものだ。
たとえば世界同時不況に打ち勝つ原動力の一つとして世界が注視する中国の成長は、てごわいライバルの台頭であると同時に、日本に隣接する市場が豊かになることも意味する。
インドや東南アジアも含むアジア域内の潜在成長力は米欧よりずっと大きい。この地域の中間層人口はすでに9億人近くに膨らんでいる。
多極化という新段階を迎えたグローバリズムの渦中に打って出る戦略が必要だ。成長するアジア市場を域内各国が共有する「共通市場」化を、世界貿易の拡大と両立させつつ推進すべきである。そうすれば、日本企業に巨大な事業機会が広がる。
低炭素社会への対応はどうか。国際的な枠組みの中で、温室効果ガスの大幅削減に取り組む。ものづくり国家の新たな試練だが、これも新しい技術や製品を育てるチャンスだ。
たとえば太陽光発電。「日本の太陽電池工場はいわば『油田』。中東産油国からの誘致もある。」とシャープの町田勝彦会長は言う。こうした世界最高水準の環境技術に磨いをかければ、低炭素社会の勝者になれる。
一方、超高齢化が進むと、労働力確保や年金・医療保険制度の維持が難しくなる。その不安がいま消費を萎縮させていることを考えれば、社会的な安全網を強化して国民不安を解消することは重要な経済政策である。
イタリア、韓国など高齢化が進む国は少なくない。人口13億人の中国もやがて高齢化が急速に進む。世界で最初に超高齢化を経験する日本はモデル社会づくりの先行例となる。規制緩和や投資減税などの政策誘導で、いち早く介護ロボットや先端的な医療福祉サービスを開発し、世界をリードする有力産業に育てることも夢ではない。
それが新たな雇用を生み、サービス利用者が家族の介護で働くことを制約されないような世の中にすることができるなら、超高齢化への挑戦そのものが成長の新しい柱となる。
'09.8.14.朝日新聞
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