散歩道<3069>

                  社説・衆院解散、総選挙へ大転換期を託す政権選択(1)                (1)〜(3)続く

 政権交代の予兆が強まるなかで、歴史的な総選挙の号令が鳴った。
 戦後の日本政治を率いてきた自民党政治になお期待を寄せるのか、それとも民主党に国を託すのか。そして、どんな政権であれ、失敗があればいつでも取替え可能な新しい政治の時代を開くのか。有権者が待ちわびた選択の日がやってくる。
 内も外も大転換期である。危機を乗越え、人々に安心と自信を取り戻すために政治と政府を鍛え直す。その足場づくり、つまりはこの国の統治の立て直しを誰に託すか。これが焦点だ。


失われた20年を超えて
 
 それにしても、自民党に対する民意の厳しさは尋常ではない。解散までの混迷が映し出したのは、それにうろたえるばかりの政権党の姿だった。
 小泉首相の郵政選挙から4年。
 衆参のねじれで思うにまかせぬ国会。2代続いての政権放り出し。麻生首相の迷走と政策の説得力の乏しさ。だが何よりも、明日の暮らしと国の未来への人々の不安や危機感を受け止められない自民党政治への失望だろう。
 かって日本の強みだった「一億総中流」とは似てもに似つかぬ格差と貧困、雇用不安、疲弊する地方。そこに世界的な大不況がのしかかり、社会はきしみを深めている。
 一番の元凶は小泉改革だと、自民党内でも批判が熱い。だが振り返れば、20年前の冷戦終結とバブル後の「失われた時代」の到来はすでに、戦後の右肩上がりの時代を率いた自民党政治の終わりを告げていたのではなかったか。「自民党を壊す」ことで自民党の延命を図った劇薬も、それなりに効用はあったが、賞味期限はみじかかった。
 官庁縦割りの政策や予算。政官業のなれ合い。行政のムダ。霞ヶ関への中央集権。温存された矛盾を何とかしなければ経済危機への対応も難しい。それを国民はひしひしと感じている。
 日本が寄り添ってきた米国の一極支配はもうない。多極化した世界で、G20や米中のG2が重みを増す。中国の国内総生産は今年中に日本を追い越しそうだ。「世界第2位の経済大国」という看板は、巨大な隣国に移る。


'09.7.22朝日新聞