散歩道<306>
                   仕事力 村上 隆様・価値を伝える技はあるか(2)アジアのルールを翻訳する

 (私の工房では私の作品製作とともに、若手のアーチストのマネジメントも行っています)アーチストをどう育てるか。絵を書いたり物を作ることでしか自分を開いていくことが出来ない偏った人たちがやっとの思いで社会とコミットしようとしようとしている叫びの空間を、様々な手練手管でオーガナイズしてゆきます。コンプレックスと作品がリンクしているケースがよくあります。それを作品製作のモチベーションに転化し、作品の芽が出て、その矛先がきまった瞬間、素晴らしい瞬発力の作品が出現するのです。又逆に揺れ動く心を抑制できずにズルズルと落ち込んでいくこともあります。どうやって揺れない心の核心までたどり着けるのか、ナビゲーシンしたりもします。心のコンポジションを整備して心の本音を探し出し。心の扉を開け放つ、とてもリスキーな職業。それがアーチスト。それをオーガナイズしていき、お客さまへプレゼンテーションしてゆく仕事がアートマネージメント業務なのです。アーチスト同様に長く地味なトレーニングが必要です。アーチストの才能を発見し、可能性が見えた瞬間に褒めてハグして「バンザイ」って言って。アーチストアートにかかわっている人たちがサナギから羽化する瞬間を見逃さない。そういった褒めるチャンスを息を潜めてうかがっているのも仕事です。その人なりの勝ちパターンが理解できた時に初めてアートと深くコミットできるのです。延々と続く地道な仕事への活力になった時、歴史はかかわったその人たちすべての手で、塗り替えられるのです。日本は世界で一番と言えるほど絵の好きな国です。日本人の持つすばらしい感性特別造形美への執着は、アジア諸国の中でも中国などとは別の文脈で特殊かつ深いものがあります。一つに「キャラクター」の創造産業は、開花し始めています。 欧米でも大人気のものすごい数のキャラクターたちは毎日のように誕生し、アニメにゲームに広告に、企業やイヴェントアイコンとして次々と世の中に送り出されています。
 
(元はといえばディズニーアニメーシヨンに影響を受けた)手塚治虫氏らが花開かせたマンガ、アニメーシン業界の発展、そして戦後、アメリカから大量に流れ込んだ企業イメージキャラクターたちの流布が、かわいいものを慈しむベースを作ったと言えるでしょう。世界的に見て突出して才能をキャラクターその変化自在の想像力は日本人にとって空気を呼吸するように作り出されており本当の本物としての芸術価値を、自分達がまだ理解していないと思うのです。2003年1月米連邦最高裁判所は音楽や出版物、マンガのキャラクターなどによる利益を保護する著作権について、有効期間の延長を決定しました。これによりミッキーマウスの初期の著作権は守られるようになりました。日本で例えば、のらくろやサザエさんの著作権を巡って議会が動いたということになるでしょうか。ある意味では我々日本人はマンガ、アニメはもとより、生み出されたかわいいキャラクターたちの真価を世界一低く評価しているとも言えます。芸術には荘厳で、敬虔な体験だけではなく「かわいいい〜」と心からほほ笑める体験もあるはずです。その世界最高峰のかわいいキャラクターたちの権利を守っていくことは、実は芸術大国日本を未来に向けて作っていくことなのです。