散歩道<3053>
政治コラム・総選挙考A・マニフェスト選挙どう進化(2) (1)〜(2)続く
第2の効用は、政治と官僚との関係に表れる。マニフェストについて、霞が関の現役官僚やOBに意見を聞くと、反応は明確に二分される。「官僚が政権党のマニフェストの範囲内で仕事をするのは時代の流れだ」(現職局長)という肯定論がある半面で「マニフェストですべてを縛ってしまったら、柔軟な行政ができなくなる」(事務次官経験者)といった不満もくすぶる。
官僚にはもともと、政党の公約はあいまいにしておいてもらって、自分たちのさじ加減で行政を進めたいという気分が強い。それが官僚の影響力にも通じるからだ。しかし、そうした不透明な行政が多くの不祥事や無駄づかいに繋がってきたことは間違いない。マニフェストが定着すれば、官僚の裁量の幅は狭められ政策決定を官僚指導から政治主導に改めていく効果が期待できる。
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もっとも、マニフェスト政治はまだ発展途上だ。自民党がこの4年間の成果を検証した中身は甘すぎるし、大雑把だ。今回のマニフェストで、10年間で家庭の手取りを100万円増やすと言うが、4年任期の衆議院議員を選ぶ選挙としてはふさわしくない。民主党も経済の成長路線が描けてないし、安全保障政策も詰が足りない。マニフェスト政治がどこまで進化するか・・・政党の勝敗とともに総選挙の大きな見所である。
'09.8.1.朝日新聞・編集委員・星 浩氏
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