散歩道<3052>
政治コラム・総選挙考A・マニフェスト選挙どう進化(1) (1)〜(2)続く
マニフェスト(政権公約)ブームだ。政党が発表する政策集を、新聞やテレビがこれほど熱心に報じるのは初めてだろう。政策の実施時期や財源を明示してもらい、政策論争を深める・・・北川正恭・元三重県知事らが、そんな狙いで6年前に始めた運動がようやく花開いた。北川氏は「候補者選びで何を重視するかという世論調査の1位は、6年目はたいてい「人柄」だったが、いまや、ほとんどの調査で「政策」。それくらいマニフェスト運動の効果があった。
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そのマニフェストの効用を考えてみたい。第一に、政党と有権者との関係が変わった点だ。これまでの選挙では候補者が「お願い」を連呼し、公約には「活力ある高齢化社会を目指す」といった抽象的言葉が並んだ。具体的な政策を示すマニフェストは、政党と有権者との関係を「お願いから約束」に変化させた。
選挙で勝った政党は政策を実現しなければならないから、マニフェストは「政権と有権者との契約書」となる。負けた政党は、再挑戦に向けて新しいマニフェストを練り直す。そんな政治サイクルが動き出した。
有権者は、政党に「お任せ」する政治から,各党の政策を「吟味する」政治に意識を転換する必要がある。右肩上がりの高度成長期なら「お任せ」でも、多くの人が分け前を増やしたが、低成長・少子高齢化のいまは、そうはいかない。配分の仕方に関心が高まり、説明責任が求められるようになった。マニフェストの登場にはそうした時代背景もある。
'09.8.1.朝日新聞・編集委員・星 浩氏
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