散歩道<305>
仕事力 ・ 村上 隆・価値を伝える技はあるか(1)・アートは革命である。
アートの世界では今まで西洋がルールの基本でした。戦後すぐパリ、その後から今日までニューヨーク、その天下りのルールをどう解析すればという点に集中してきたのです。公募展も現代美術もお手本に忠実であれ、が基本でした。しかし本場のアートの最重要項目は「オリジナリティー」であり、手本の模倣ではなかったのです。(日本ではアートとは別にマンガやアニメが大量に描かれて、アニメ会社の美術館が出来てしまう時代になり、多くの支持を得ています。)日本にはこのようにアニメやマンガなど新しい形のアートが存在するのに西洋に流通させる、説明していく技がない。今までの日本は受身の感性で文化が構築されてきた国ですから、自身の説明を解りやすく行うことには慣れていなかった。例えば、アメリカ人に日本のマンガとは何かということを説明するにはどうするか。今までのお決まりの浮世絵や、かってのマンガでは飽きられる。それを強い興味を持って聞いてもらうにはどうするか。アメリカは歴史の浅い国ですから壮大な歴史の話を知りたがる。縄文式時代までさかのぼり、埴輪や日本の歴史を交えて面白おかしく(嘘がないことを前提として)脚色し説明する。そういう努力が必要です。日本の今までのような四角四面説明ではなく、何かを伝えるなら興味を抱かせ、楽しませて引き込んでいくエンタテイメントしなくてはならない。その要素の融合、フュージョンが私の考えるロジックです。いくつもの感動を提供できなくてはならない。それがブランドです。優秀なアートとはジャンルを越えて、思想的にも革命を起こします。それには根強い慣例、因習を振り切るだけの根拠やリアリティーがなくてなりません。それを突破してなお、多くの人々に受け入れられる内容を持ったものが真のアートであり、革命足り得ます。そしてあきらめず新しい信念を驀進する者がアーチストと言えたりしまう。ルイ・ウ〃ィトンのマーク・ジェイコブさんとのコラポレーションにおいても、やっぱり革命を起こしたかったのです。定番イコール歴史、それがブランドの力。という図式を越えて、シックだった鞄の柄をカラフルに変革させたのは、ルイ・ウ〃ィトン・フアンにとってはショッキングな事件だったようです。私はアート以外の部分で(六本木ヒルズの街造プロジェクトで66星人というキャラクター作りをした)革命をお手伝いしましたが、これら広告芸術へ純粋芸術家が本気でかかわったこと、それ自体がアートの世界では革命であったのだと思います。手がけている仕事がいくら先鋭的でも、社会内で弧高の天才や自由人として生き、走りつづけることは困難です、アーチストたちも歴史の徹底したアーカイブ(古文書の保管)作りから、サイコロジカル(心理的) なトレーニングまでプロの「仕事」として爆発的なオリジナルな作品の案出に琢磨しているのです、とっぴなアイデアをどのように社会に着地させるか。圧倒的なバランス感覚を養っていなければ自分自身を吹っ飛びかねません。そのためにもアーチストも一社会人であるという認識を最低でももって欲しいと思います。音楽の世界(自分で詩を書き、曲を作り、歌い、プロデュースまでする。シンガーソングライターという生き方)ではすでにそういった道つくりは行われました。
備考:'08.5.2.朝日新聞、世界で最も影響力がある100人の中に日本人2人が入っている。その内の1人が村上 隆さんである。おめでとうございます。