散歩道<3047>
opinion・私の視点・政府は情報公開し説明せよ(2) (1)〜(2)続く
核密約問題
この二枚舌は、米側でも不信を招くようになった。米側資料を読むと、日本政府が国民への説明責任を果たさず密約の存在を否定し続けるため、原子力潜水艦の日本への寄港前の長期にわたる協議やポラリス型潜水艦の寄航の無期限延期など、取り決め以上の制約を受けてきたと強い調子で不満をあらわにしていた。また、「密約」の存在を否定したり、無視「密約」したりするかのような日本の政治家の発言は、実はその義務の履行を引き伸ばす狙いがあるのではないかという疑いすら招いていた。このような態度を米国の指導者は日本の民主主義の未熟さの表れと捉えると共に、日本側の秘密情報漏出の危険性に不安を抱いた。逆に日本の官僚は、このようないら立ちを隠さない米政府の指導者を恐れ、彼等の一挙手一動におびえたのである。外交だからといって秘密主義がまかり通った時代は終わっている。今後、政府は密約を巡る一連の情報を公開して説明責任を果たし、国民の政治への理解と信用を回復することにより、日米関係を真の信頼に基づいた健全なものにすべきだ。
国民を欺くだけでなく、その責任逃れのための証拠隠滅を図ったと解せなくもない公務員による公文書破棄の問題は、とうてい許し難い。密約問題の解明と責任追求なくして、日本の民主主義の再生も日米関係の成熟もない。
'09.7.30.朝日新聞大阪大教授・松田 武氏