散歩道<3045>
opinion・私の視点・人事権掌握・党首の公約に(4) (1)〜(4)続く
官僚改革
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民主党だけでなく自民党に喪「問題の核心」に迫ろうとする動きがある。自民党の中川秀直元幹事長は6月、官僚から人事権を奪うための「幹部国家公務員法案」をまとめ、国会に提出するよう自民党に迫った。これに同調する党内の署名は125人に達したという。党内の一部とはいえ、本気において民主党に勝るとも劣らないといっていい。
ここは民主党も負けてはいられない。互いに競い合い、時に連携して「政治機能の強化」を推進するのが望ましい。
民主党は27日に発表したマニフェストで、「政治機能の強化」のための具体策として「閣僚委員会」、「国家戦略局」、あるいは「行政刷新会議」などを新設すると公約した。だが、単に組織をつくるだけでは、官僚に乗っ取られた感のある「経済財政諮問会議」の轍(てつ)を踏むことにならないか。
「政治機能の強化」の要諦(ようてい)はこれまで述べたように,@首相の周辺を同志で固めることA官僚幹部の人事権を掌握すること・・・に尽きる
この二つを政治が取り戻せばマニフェストの実現が担保されそこからすべてが大きく変わる。天下り問題はいうに及ばず、地方分権であれ、税制問題であれ、官僚からは出てこない自由な発想で、新たな進展が見られるに違いない。
いまのままだと、民主党の改革はこれまで同様、「お題目」に終わる恐れがある。ここは、党の公約とは別に「党首の公約」、すなわち鳩山代表個人の公約を打ち出す必要がある。鳩山氏は重要な課題に政治生命を賭けることをいとわない数少ない政治家だ。この際、明確な政策メッセージを発し,帰る橋を焼き落としてほしい。
日本の二大政党はいまだ発展途上の段階にある。なかでも寄り合い世帯である民主党は重要な課題で一枚岩になりにくい。だからこそ,ともすると「官意」で動こうとする党内の異論を押し切る党首個人の明確なメッセージが強く求められる。特に、首相の周辺固めと幹部官僚の人事権について、改革の内容と期限とを選挙前にきちんと明示しなければ、実現は不可能であると強調したい。
言うまでもなく、「政治機能の強化」は政治家にも一段と高い志と見識を要求する。官僚に依存してきた政治の劣化は、官僚のそれを上回るものがある。
さらに有権者も、いままで以上に責任と義務を引き受けるよう迫られる。政治の過ちを人のせいにはできなくなるからだ。オーストラリアでは改革の過程を全面公開することに徹底してこだわった。誰がどのような理由で反対しているかを国民の前に明らかにした。「国民的支持がなければ官僚改革は葉で着ない」を合言葉に、国民も巻き込んでいった。
今回の総選挙は来夏の参院選とワンセットだ。この二つの国政選挙を通じ「民権政治」の土台ができたことに、私は胸を躍らせている。
'09.7.30.朝日新聞・元経済企画庁長官・田中 秀征氏
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