散歩道<3042>

                    opinion・私の視点・人事権掌握・党首の公約に(1)            (1)〜(4)続く
                                 官僚改革   

 今回の総選挙では官僚改革が最大の争点に成るだろう。その突破口を開く「政治機能の強化」、すなわち官僚主導から政治主導への転換を実現する具体策に議論が集中する雲行きだ。
 民主党の鳩山由紀夫代表は21日、解散国会に臨む両院議員総会で今回の総選挙の歴史的意義を次のように規定した。
 「今回の総選挙は、明治維新以来の官僚主導の政治から、国民総参加で政治主導による新しい日本の政治を興す、革命的な解散、総選挙だ」
 その緊張し面持ちから「政治機能の強化」に賭ける並々ならぬ決意が伝わってきた。もとより私も同じ認識である。
 幕藩体制をそのままにしていたら、明治は始まらなかった。その習いでいえば、冷戦期、高度成長期の統治構造(政治と行政の仕組み)にメスを入れなければ、本格的な新しい時代の事業は進まない。われわれは冷戦体制と拡大経済の枠組みがほぼ同時に崩れ去った90年代初頭から長く先送りしてきた重要課題をいま、ようやく遡上
(そじょう)にあげたのだ。
 オーストラリアは80年代に大がかりな行政改革、官僚改革を断行し、成功させた。日本とよく似た議員内閣制なので、学ぶところが多い。私は94年、オーストラリアを訪問し、改革に取り組んだ当事者たちに会って直接、その経過と成果を聞いた。「日本では官僚改革も官僚主導です」という私の言葉に笑いが止まらなかったかれらに、「われわれは官僚に会わないどころか電話にもでなかった」と言われ、返す言葉がなかったのを鮮明に覚えている。
 彼らの説明によると、改革を成功させた最大の要因は「政治機能の強化」から着手した点にあるという。首相周辺から官僚を極力、除外し、首相の民間人の同志を特別公務員に仕立てて周りを固めたのである。企業家、言論人、学者、弁護士、など顔ぶれは多彩。いずれも首相の政治信条に共鳴しており、マニフェストの作成にもかかわった人が多い。

'09.7.30.朝日新聞・元経済企画庁長官・田中 秀征氏


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