散歩道<3041>

                ザ・コラム・ポリティカ・ニッポン変えちゃいけないものもある(3)         (1)〜(3)続く
                           
政権選択の夏

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 取材ファイルから、退陣を前にした宮沢首相がオフレコで番記者に語ったメモが見つかった。宮沢氏も亡くなったいま、もう公表してもいいだろう。「みなさん、これだけはお願いしたい。いいですか、憲法は変えないほうがいい。守ってください。二度と戦争はしちゃあいけないんです。僕は憲法ができたいきさつは知っているんです。あれは翻訳だ。日本語じゃない。それでも憲法は変えちゃいかんのです」
 「私と後藤田(正晴)さんは、憲法を変えちゃいけないという最後のジェネレーションなんです。占領は屈辱ですよ。ドイツ人は忘れぽいからまた(国際貢献の名で)戦争をしようとしている。小沢なにがしってのは、ぼくにとって何でもないんです。でも、憲法を変えるといったら、それだけは断固許さない」
 政権交代はあっていい、だが、変えてはいけないものがある、「平和」という原理は壊さないでほしい。宮沢氏がほろ酔いで語った言葉は、戦後保守の知性の究極の思いだったのかも知れない。

'09.7.30.朝日新聞・本社コラムニスト・早野 透氏

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