散歩道<3038>

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                               文化戦略

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 中国がいま力を入れている文化戦略は、04年に海外で始めた「孔子学院」プロジェクトだ。
 中国と海外の大学同士が提携し、中国側から教員を派遣して中国語を教える。教材は無料で寄付し、予算の半分は中国政府が出す。
 国内11学院のうち札幌大学を例に引くと、提携先の広東省の大学が講師を派遣し、駅近くに部屋を借りて中国語を教える。今春には社会人ら266人が受講した。
 「今年中国からの補助は18万米j。利用者は安く受講でき、大学側も中国語を学ぶならここ、というブランド作りに役立つ」と加清真二事務長はいう。「国の影響力を強めるために対外文化事業をする時代じゃありません。これからは(共に得をする)ウィン・ウィンの時代ですよ」
 北京の孔子学院総本部を訪ねると、胡志平・副本部長はそういった。5年間で83カ国に267の学院が出来た。最多は米国の54学院だ。今も世界から150以上の申請がある。昨年の中国側予算は8億人民元だが、同額を相手国の大学が持つため、倍の効果を上げているともいえる。
 「相手のニーズに合わせ、共同事業で中国のことを知ってもらいたい。グローバル化の時代にはどの国も、自国の文化を紹介する義務があると思います」
 ひるがえって、日本。どの国も必死でソフトパワーに磨きをかけようとしているという今、思い浮かぶ文化戦略は、補正予算で話題になった「アニメの殿堂」くらいだろうか。
 解散を機に、ここはじっくり、文化戦略にも目を凝らしたい。


'09.7.23.朝日新聞・編集委員・外岡  秀俊氏