散歩道<3000>
経済気象台(465)・日本への注目度
重苦しい懸案だったGMとクライスラーの再建にもようやく道がついた。それが金融システム動揺の収まりや、もろもろの経済指標の底入れもあって安堵感となっている。これまで鳴りを潜めていたファンドも原油市場や株式市場に戻りつつある。しかし、これで以前の状態に向かうとは考えがたい。中国やインド、また資源国の活性が目立つが、世界経済全体としては次の安定した低めの軌道を模索する展開となろう。このような未体験ゾーンの中で、日本に対する注目度が高まりつつあることには理由がある。
その第1は21世紀最大の課題である地球環境問題に対処する意識や技術において、日本は一歩先んじていることである。地球と共生を大切にする感性、そして環境公害の防止、資源の有効利用、ハイブリッドカーの開発など、日本が意識する以上に他の国々のモデルになる要素を備えている。
第2はバブル経済の破裂とその収捨を一足先に経験した学習効果である。民間の自律回復を柱とし、国はそれを助ける、という方向で知恵を尽くしたことが再評価されている。しかし、もっと大切なのは、バブル崩壊を機としてそれまでの浮ついた人心が一転し、勤勉で集中力のある生き方が回復したことだろう。
第3は今後の企業経営のあり方に関してである。GMの破綻(はたん)、そして米国の金融機関経営の節度の無さは米国型経営の負の面を浮き彫りにした。環境の激変に果敢に適応してゆく経営の新たな知恵は欧米には求め難い。社員や現場を重視する日本経営の長所が見直されることは必然と考えられるからである。政治もこれらのことを念頭に置いたかじ取りが特に肝要だと思われる。
'09.6.18.朝日新聞