散歩道<2991>
経済気象台(462)・禍不単行
「禍不単行」とは中国の古くからあることわざである。災難は単独ではやってこないという意味である。この言葉は「福無双至」(幸せは重ねては来ない)と対で使われる。
我が国の庶民も今またこの通りの災難の連鎖に見舞われている。四半期GDPは2期続けて年率15%前後の下落を示した。派遣社員のみならず、世紀社員の雇用不安が高まる中、新型インフルエンザで日常生活まで脅かされる状況が生じた。幸い今回のインフルエンザは沈静に向かっているが、世界的流行(パンデミック)の脅威は一層現実化しつつある。
加えて、この国では今回の金融危機直前までの長期にわたる景気回復にも、全く豊かさを感じることはなかった。老人は長生きをつらく感じ、多くの若者は所得の低さと将来不安から結婚や出産をあきらめている。
貧困化し、孤立化する庶民と好対照なのが、この国の官僚と政治家である。高級官僚は巨額の退職金と高額の年金で優雅な老後を迎えられる。 政治家たちは、米国からの巨額の景気刺激策の要請を受けて矢継ぎ早に財政出動を行った。09年度補正予算にいたっては、総額15兆円もの巨額で、使い道に省庁や族議員は笑いが止まらない。
外を見れば、核武装を進める北朝鮮によって、平和国家の理念も揺らいでいる。中国はいち早く経済回復を進め、経済大国の道を加速している。 国内的には、雇用、子育て、教育、医療、介護といった社会インフラが崩壊し始め、対外的には米国のみならず、近隣諸国からの軍事・外交・経済圧力がますます強くなる。
政・官に未来を奪われ続けるこの国の庶民の不幸は、言葉に尽くせない。
'09.6.9.朝日新聞
備考:私は上記意見に大方は同意見ですが、すべて賛成というわけではない。