散歩道<2981>
                       社説オピニオン・水俣病の政治学(3)               (1)〜(5)続く

                   合意形成の時だ カギ握る民主党よ政権担当能力示せ 

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・・・現地で患者宅を始めて訪問したのは先月末。就任から1年以上がたっています。関心がうすかったのでは。
 「熊本県で生まれで小さい頃から水俣病のことは知っていました。当時は原因不明の怖い病気だといううわさでした。ハーバード大学に留学し政治学を学んでいた28歳の時、公害研究として国際的に注目された「ミナマタ」に遭遇しました.以来、水俣病は私の政治学上の関心事です」
 「水俣病が広がった背景に、チッソの排水が原因と気付きながら時代の制約から止められなかった行政の不作為があると感じていました。だから知事として水俣病にぜひ、かかわりたかった。昨年1月に立候補を表明した翌日、水俣湾で第一声をあげたのもそのためです。集まったのは報道陣ばかりでしたが・・」
 ・・・・知事は昨年、水俣病と並ぶ難問、川辺川ダム建設を白紙撤回しました。政治学的に見て、この二つの課題解決の共通点と相違点をどう分析しますか。 「川辺川ダムは四十数年、水俣病は五十数年越の熊本県の二大難問です。政治的な共通点は、県民の総幸福量にとってプラスになるという基準で決断を下しているという点にあります。川辺川ダムは球磨川の清流を守りたい県民の気持ちを最優先することが総幸福量を増すと考えて白紙撤回を表明しました。水俣病では、国会で救済案が熟しているこの機を逃さず被害者救済を図ることが、総幸福量に貢献すると考えています」
 「相違点は、知事の意見が事業に大きな影響を与えるダム建設と異なり、水俣病では知事が与野党協議のアクターではないので、決断できる範囲が少ないことです。やるのはもっぱら説得です」
 「衆参ねじれ」では、自民党一党支配のころと違って野党の力が増し、物事が進みにくくなったと感じませんか。「野党の影響力が大きくなるとその分、法律の正当性が高まる側面があります。被害者の様々な要望、より広範な利益に配慮したものになるからです。野党が話し合いを拒否したら、それこそもったいない」

'09.6.10.朝日新聞・蒲島郁夫熊本県知事

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