散歩道<2980>
                     社説・オピニオン・水俣病の政治学(2)               (1)〜(5)続く
                   合意形成の時だ カギ握る民主党よ政権担当能力示せ 

 水俣病の未認定患者問題で蒲島郁夫熊本県知事が動いた。先月末、水俣で被害者と会ったそお足で永田町へ。別々に救済法案を出した自民、民主両党幹部に今国会成立を訴えた。合意形成のポイントはどこか、政治学者出身の知事に「水俣病政治学」を聞いた。

 「チッソの分社化も対立点です。民主党は分社化に反対ですが、そもそも地元には「チッソには元気になってほしい」という声が強く、地元の不安はチッソが存続するかどうかです。分社後の子会社の株式譲渡を厳しく縛るという条件をつければ、地元の不安は解消され、加害者救済という面は薄れます。救済対の範囲や一時金などの救済手段でも妥協は出来る。対象範囲で一致している感覚障害について、先行して一時金・医療費・手当てを出す方法もあります。一部で折り合えないからすべてをちゃらにするというのは問題です」
・・・総選挙で民主党政権になれば、衆参両院ともに多数の安定政権です。それを待つのもひとつの手でしょう。
「園田博之・自民党政調会長代理が9回裏まで1点差で与党案をまとめてきたのが今の状況です。霞ヶ関、自民党、被害者団体、チッソなどあちこち説得したでしょう。政治学者の目でみても相当な政治力がないとできない芸当です。ここにきて民主党がリリーフを出した。セーブポイントをとるのか。わざと同点にして勝ち投手を狙うのかという局面です」
 「政権交代の後、関係者を再度説得するには相当な時間と手間がかかります。高齢化した被害者を考えればそれがいいのかどうか。民主党には理想主義を言い募り法案を葬る選択もあるでしょうが、政権獲得を狙う政党としては政権担当能力を示すとこころではないか。水俣病の救済策を政争の具にしてはいけません。政治学でいうところの合意争点です」


'09.6.10.朝日新聞・蒲島郁夫熊本県知事