散歩道<2951>

                            凋落 アメリカの夢(1)                   (1)〜(4)続く 
                        アメリカで入手した、ルート66の広告
      

 米自動車ゼネラル・モーターズが破綻(はたん)した。GMといってもピンとこない人が多いだろう。では大衆車シボレー、高級車キャデラックならどうか。「アメリカ車」を代表するGMのブランドだ。
 60年代初め、日本でも人気があった米テレビドラマ「ルート66」は、2人の若者がGM製シボレーのスポーツカーで旅をする番組だ。
 芸術的ともいえる流麗なボデーイライン。金属質の光沢に輝く車体。戦後の荒廃からようやく立ち直った日本人の目に、テレビや映画で見るアメリカ車は、まばゆいほどの「豊かさ」を体現していた。
 GMは1908年創立。先行するフォード社は黒一色の「T型フォード」にこだわってコストダウンをはかり、「大量生産方式」を生み出した。数年で20社以上を買収して急成長したGMは、高級車から大衆車まで多様なブランドで車を提供し、フォードを抜き去る。今にまで続く「大衆消費社会」の原型を築いた。
 20世紀初頭、全米の自動車は8千台に満たなかった。それがピークの00年には新車販売1700万台の巨大市場にまで成長した。車の「大衆化」を支えた筆頭は31年以来、77年間にわたって販売世界一の首座を守ったGMだった。
 20世紀は「車の世紀」であり、「米国の世紀」だった。その象徴ともいえるGMは、創業101年で自主再建断念にまで追い込まれた。米産業の活力の象徴だったかっての栄光を取り戻すのは容易ではない。20世紀に輝いた「アメリカの夢」の凋落
(ちょうらく)である。
 GMの「破綻」は、アメリカ人にとって何を意味するのか。それを知ろうと米テキサス州に向かった。そこには、墓標のように並ぶキャデラックがあった。

'09.6.2.朝日新聞・編集委員・外岡 秀俊氏


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備考:我々が日本で外車(アメリカ)を見た、1962(s47)当時は、外車はガソリンを撒きながら走る車であるという見方をしていた。
備考:ナッキング・コールのルート66の歌は、何時聞いても楽しく、アメリカの明るさが感じられる2009年6月17日