散歩道<2922>

                   あしたを考える核なき世界へ・オバマ演説から始まった(1)            (1)〜(3)続く      
                        
根底に核テロ対策「開発の口実与えない」

 「核のない世界」を目指すという今年4月のオバマ米大統領の宣言をきっかけに、核廃絶への期待が高まっている。北朝鮮のミサイル発射直後に「核ゼロ」を提唱したオバマ氏。核拡散や、核テロの脅威の高まりが言われる中、いまこそ核兵器への依存を減らさなければならないと訴えた大統領の脳裏には、どんな考えがあったのだろうか。

北朝鮮の発射影響せず
 4月5日。米大統領・バラク・オバマは、風邪気味の体調を押して就任後初の欧州歴訪を続け、前日、チェコの首都プラハに投宿していた。オバマの多忙な1日がはじまったのは、現地時間の早朝4時半。北朝鮮がプラハから8千`以上はなれた日本海沿岸部の基地から長距離弾道ミサイルを発射した、との知らせが入ったのだ。オバマはこの非核軍縮についての重要演説を行うことになっていた。06年に核実験を強行した北朝鮮が、核弾塔載可能で、米本土も射程に入るミサイルを完成させる・・・現実化すれば、米国に対する核の脅しというカードを北朝鮮が手に入れることにななりかねないシナリオだ。まず約1時間半後、ギブス大統領報道官が携帯端末「ブラックベリー」から、各メディアに向けに「国連安保理決議に明らかに違反する」と北朝鮮を非難する声明を流した。オバマの演説は約4時間後に迫っていた。原稿に、やはり北朝鮮をとがめる文言が付け加わった。「ルール違反は罰せられなければならない。北朝鮮は、兵器で安全と敬意は得られないと理解すべきだ」だがオバマは、演説の骨格は変えなかった。「核のない平和で安全な世界を米国が追及していくことを明確に宣言する」オバマはこの演説で、広島・長崎に原爆を投下したことによって、核兵器を実際に使用した唯一の国としての「道義的責任を」を明言した。世界から核兵器をなくすため米国が率先して具体的な施策を講じる、と目標をかかげた。そのオバマの決意は、北朝鮮の瀬戸際作戦によっても変わらなかった。むしろ逆に、米国が核軍縮に積極的に取り組まない限り、北朝鮮やイランのような国からの攻撃や、核兵器を使ったテロ攻撃の脅威から米国を守ることも出来ない、との確信を深めた可能性がある。

'09.5.20.朝日新聞


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