散歩道<2917>
興味ある追悼文章・ 加藤周一さんの追想(3) (面白い文章に分類) (1)〜(3) 続く
5人の著名な加藤周一さんと親交があった方が追想の形で書かれているので自分なりに纏めた。それらの方の表現で興味あるものを抜粋した。
鋭い感受性・深い洞察力
「李白と杜甫と、どちらが好きですか」ある時、加藤さんにたずねた。答えは予想通りきわめて明快であった。「杜甫ですね」加藤さんは「饒舌」(じょうぜつ)の人である。要するに、豪放磊落(ごうほうらいらく)な李白とちがって、杜甫の詩が示す端正さ、そして時に見せるひらめきがいい、という。話は李杜にとどまらず、『論語』 『孟子』比較論に及んだ。「『論語』には、時々、超人間的なひらめきがある。その魅力は、『孟子』にはないな」杜甫と孔子に対する、「天才的なひらめき」「超人間的なひらめき」という標語を聞いて、中国の詩に対する、また中国古典に対する、核心をつく加藤さんの鋭い感受性、そして深い洞察力を、あらためて感じた。私は以前から、加藤さんの文章、漢語の使用をできるだけ抑え、しかも冗長でなく明晰(めいせき)な文章を読んで、その背後に、逆に漢文の深い影響があるのではないか、と思った。そこでまた、無遠慮に質問した。「今でも漢文を読んでおられますか」「一日に一度は漢文の古典に関する本か、古典そのものを、少しでもいいから何ページか読むことを日課にしています」なるほど、そうだったのか、思っていると、加藤さんはつづけていう。「これは漢文の勉強というよりも、日本語の水準を落とさないために必要だと思いますよ。日本語のある緊張したリズムを維持するために」そして、「何ヶ月も読まずにいると、日本語の力が落ちるのです」。加藤さんの中国文化に関する知識は、きわめて広く、かつ深い。それは、哲学、思想、歴史、政治、文学、絵画、建築など、さまざまな分野にわたる。(中国文学者・一海知義氏)
備考1、 ここで思い出したのは、理系と文系の基本的な考え方の違いである。ここで発表されている5人は、技術者、映画監督や憲法学者等はどちらかいうと論理的に考えを纏めていかれることを考えると、考える法則は理系に近いのかもしれないと思った。
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備考2、特に医学界などでの、相手の発言に対する違った意見などの発表には、(お互いに信念を持って発表されているだけに)医師の発言は大変鋭いものがある(喧嘩にならないかと心配したこともある)。私にも何回か見・聞きした記憶がある。
備考3、大学での充実感は:マンモス大学・文系では、小グループのゼミでの集まりでもない限り多くの人は殆ど味わうことは出来ないと考える。一方、少人数の理系の大学では切磋琢磨する濃密度の勉強の為、深く感じられるものがあるように思う。それは文系・理系とも、今も代わっていないと思う。2009年5月28日 2012年5月24日