散歩道<2874>
けいざい・ノート・銀行国有化・世界の不良資産処理急げ・国際的な政策協調を(2) (1)〜(3)続く
財政による景気の 下支えは激変緩和処置として必要なことは間違いないが、それだけでは十分ではないのである。財政出動の効果で景気が一時的に落ち着いている間に、不良資産処理を抜本的に進めることが求められている。ところが、米国の不良資産処理はなかなか具体化しない。
特に公的資金による支援を受けている米国最大手の生命保険会社AIGの幹部社員約400人が総額210億円におよぶ巨額のボーナスを受け取っていた問題で、米国民の怒りは沸騰しており、とても不良資産処理を冷静に進められる政治的な状況にはない。
AIGボーナス問題は、日本住専問題と同じ歴史的な意味を持つことになるのかもしれない。政治的な膠着状態が続くことで、抜本的な処理に着手できなくなってしまうのではないか。
不良資産を金融機関のバランスシートから切り離し、政府管理下で再生処理を進めることが必要だ。日本で産業再生機構を作ってダイエー、カネボウなど再生したのと同じことが、米国の不良資産問題に対しても必要なのだ。
米政府は、これまで何度も不良資産の買い取り構想を表明している。今週も官民共同で不良資産買い取り基金を設立する具体策を発表した。しかし問題は、買い取り価格の決め方である。不良資産を金融機関から購入する政策だが、政府が支払うべき「公正な価格」はだれもわからない。
当初は、最新の経済理論を使い、入札の方法を改善するなどすれば、不良資産の「公正価格」を見つけることができるとおもわれた。だが、どうやら現実は無理のようだ。日本の経験でも不良債権の買い取り価格は、結局、当事者間の交渉で決められ、だれもが納得できる公正価格は最後まで分からなかった。米国でも公正価格が分からず、不良資産処理が、長い年月、まひ状態に陥ってしまうかもしれない。
'09.3.28.経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏
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