散歩道<2868>

                        経済気象台(422)・バイ・アメリカン

 米国で総額7870億j(約72兆円)という、過去最大規模の景気対策法が成立した。約65%を公共投資など、約35%を減税にあて、2年間で約350万人の雇用の創出を見込むというものだ。
 その規模といい、スピード感といい、「さすが」といったところだが、気がかりな内容が含まれている。
 「バイ・アメリカン条項」といわれるものである。公共事業において橋や道路に使用される鉄鋼などで、米国製の使用を義務付けるというものだ。
 最終的には「世界貿易機関などの国際合意に即して運用する」との文言が盛り込まれ、米国との間で政府調達協定などを結んでいる日本や欧州は実質的な被害を受けることはなくなった。そうした協定を結んでいないロシアや中国、ブラジルなどは反発を強め、報復処置に出る可能性が懸念されている。
 100年に一度の大不況といわれる現在の環境では、自国産業を保護し、雇用を拡大したいという気持ちは分からないでもない。
 だが、ここまでグローバル化した経済環境では保護主義に立脚した対策は、報復の連鎖により不況をさらに深刻化させることにつながる。
 米国内でもエレクトロニクスや自動車などグローバル化に展開している業界から反対意見が出ていたのがその証拠である。
 最終的には法案の修正で影響を最小限にとどめた姿勢は評価されるが、こうした法が成立する現状には懸念を抱かざるを得ない。
 とはいうものの、こうした大胆な対策をスピーディーに導入するという行動自体は、政争に明け暮れる某国の政府にもぜひ見習って欲しいものである。


'09.2.21.朝日新聞