散歩道<2857>
パリ・コレ不況下の底力(2) 09年秋冬コレクソョン (発想・世相・178に分類) (1)〜(2)続く ・・・・・発想を変える
シャンデリゼ通りで、商品の写真を撮っている様子が写っている
フレンチシック復活
困難な原点回帰というわけか、パリの伝統である「フレンチシック」が復活した。ただ、その小粋で上品なシンプルスタイルに、過剰な表現が加わる。バレンシアガは未来的なスタイルから一転して、複雑なドレープを駆使したフェミニンなドレス。シャネルは、禁欲的な黒を格に、取り外しの出来る華やかなフリル襟を飾り、ヒスイやローズなど柔らかな色とミックスした。デザインを手がけたカール・ラガーフェルドは「過去を脱ぎ捨て、次に進むための黒」と語った。ルイビトンは、フレンチシックをベースに量感や素材にエクセントリックな要素を取り込んでバービー人形のように見せ、ニナ・リッチは竹馬みたいに高い靴をはかせて細長いラインを強調した。クリスチャン・ディオールは、創始者が好きだったスズランの花のレリーフを舞台に飾り、ブランドの象徴である「ニュールック」の形を裾(すそ)すぼまりの新シルエットで表現してみせた。デザイナーは「不況で大変な今だからこそ、クリエーションを発揮できるチャンス」と話した。デザイナー交代による新生ヴァレンティアノや、贅沢な素材をふんだんに使った飛行士スタイルのエルメス、トレンドの80年代スタイルを着やすくデザインし直したステラ・マッカートニーらの力作も、パリの層の厚さを感じさせた。ヨウジヤマモトは、洗練された独自の優雅さで眺めのよい細長いドレスを並べた。フェラガモと競作した靴も服も唇も真っ赤。舞台裏で「どうせ生きるなら、赤い口紅ぐらいでいいじゃないか」と山本耀司。
15年ぶりにパリコレに復活したヒロコ・コシノ*1や、羽毛のダウンで驚くほどエレガンスナドレスを仕立てたジュンヤ・ワタナベ。複雑な布の縫い方をぶっつけて合わせて、デコレーションケーキのような甘いロリータスタイルを発表したタオ・コムデギャルソンなど、日本人デザイナーの豊かな創造性も、パリ・コレの奥行きを実感させた。
ここで若手日本人デザイナー2人を紹介、一人は(信太達哉)さん、毎回、テ−マーはなく、デザイン画も描かず、コーディネートも決めないという服作り。「色や柄、素材が先にあって、形は後から追いついてくる感じ、とりあえず作って修正を繰り返す」*2。将来は舞台衣装も手がけたいという。一人は(川崎祥央)さん、その作品は、光りと影の世界を白と黒の波状の曲線で表現。今回の発表では、「音という目に見えないものを形にする*2ことを試みたい」。個性的な柄というアイデンティティーは貫きながら、実用性にも配慮したという流れを変えたいとも。「東京で発表して、欧米からも注目される服を作っていきたい」と話す。
'09.3.19.朝日新聞
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