散歩道<2850>
                けいざい・ノート・金融危機と保護主義(2)・日本は自由貿易の受益者・「市場」以外に道はなし    (1)〜(3)続く

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 製造業大手では、生産の3割、4割減は当たり前になり、下請けの中小企業では、7
8割減になったと聞く。これはもはや不況というよりも、地震のような「激甚災害」のつもりで実施すべき状況といっても過言ではない。
 これまでの発想にとらわれない非常手段を考える必要がある。雇用対策として、一時的に財政政策で失業者を直接雇用し、介護、福祉、営林事業
*1などの現場に振り向ける。日本銀行が市場で株式や投資信託を買い支えれば、熱烈な信用収縮を多少は緩和できる。
 だがそれでも、景気と雇用の悪化に浮き足立って、市場経済の原則をゆるがせにすることは避けねばならない不況の原因を外国に求め、問題の本質から目をそらす動きが、国内で強まっていないだろうか。
 「米主導のグローバル経済が間違っていた」「新自由主義は終焉
(しゅうえん)し、新しい経済原理が必要だ」という議論。さらに雇用格差や派遣切りなど国内の労働者の苦境の原因を、中国やインドなどの低賃金国はじめ外国に求める意見もある。これには注意が必要だ。
 古今東西、「雇用を守れ」という声が保守主義の大きな原動力となってきた。外国を排除して国内労働者を守ろうとする保守主義は世界貿易を縮小させ、結局、国内の雇用をさらに悪化させる。
 今の日本の雇用問題の中で、最も重大な要因は、外国ではない。社会的な怨嗟
(えんさ)を高めているのは、国内の非正規労働者への労働制度上の不当な扱であろう。
'09.2.28朝日新聞・経済産業研究所上席研究員・小林 慶一郎氏


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