散歩道<2845>
                 opinion・資本主義はどこへ・中小企業・技術磨き、絶対に雇用を守れ(3)          (1)〜(3)続く

○ ○生活水準下げも
・・・・アダムスミスを愛読されているそうですね。個人が利益を追及すれば、社会全体では「見えざる手」でうまく資源が配分されるとスミスは説きましたが、現実はそうなりませんでした。
 「学生のころ、価値は人間の労働から生まれるというマルクスの考えに共鳴した。さらにスミスに影響され、労働に基ずく技術を大事にものつくりをしようと思った。もうかりさえすればいいのではない。独り占めでなく、フェアプレーのルールを守っての健全な競争。こんな考え方がスミスにはある。でも、現実は違った」
・・・・技術があっても、やがて中国など途上国が追いつき、価格競争になれば負けてしまいます。「うちが作る微小歯車は世界に誇れるものだが、それでも5年後には途上国に追いつかれるかもしれない。だから新しい技術を追いかける。4年前カラ、ナノ(10億分の1)レベルでプラスチックなどの表面を削る技術の開発研究を始めた。日本に一台しかない切削機を買い、どう使いこなせば何がつくれるか、研究を続けた。この小さな会社で7億円の投資。プラスチックに細かい溝を掘った「回折格子』という板ができると、フインランドやスイスの企業から注文が入り始めた。光学や遺伝子技術につかえるからだ。時代の先を読む技術開発、品質管理、財務管理の3つが大切だと思う」
・・・・人間の欲望を制御することが資本主義の課題では?
 「昨年末、家庭量販店の売り場で観察した。かなり高価な洗濯機を買った30代の夫婦に尋ねると『省エネだから』。冷蔵庫、エアコン、テレビ。売れ筋はみな省エネと省資源に配慮した製品だった。選択の基準がキャデラックから軽乗用車に代わりつつある。消費者が知らず知らずのうちに環境重視意向かっている、これは新たな『見えざる手』なんじゃないか、とふと思った。これまでの贅沢な消費生活を見直し、実体経済を中心とした資本主義に立ち戻るいい機会。もって生活のレベルを下げる方向に向かわないと


'09.3.16.朝日新聞・樹研工業社長・松浦 元男さん