散歩道<2837>

                  私の視点財政出動・景観政策次世代のために(2)                (1)〜(2)続く

 住宅であれ、橋であれ、学校であれ、「実物資産」には耐久性と実用性が不可欠だが、どうせつくるなら見た目の美しさも重要ではないか・・・。
 そんな私の主張に宮沢氏は最後に「論語にも文質彬彬
(ぶんしつひんぴん)という言葉があるからなあ」という、いかにも彼らしい言い回しで同調してくれた。ちなみに文質彬彬とは、表面の美しさと内実が釣り合っているさま、をいう。
 残念ながら、時の流れは「実物資産」の倍増ではなく、「金融資産」の倍増へと走り、90年代にかけてバブルを招いた。宮沢氏にすればじつに不本意な展開となった。
 しかし、日本列島の資産価値を倍増するのは、今からでも決して遅くはない。日本の経済力が衰弱しても、美しい国土が残れば、後の世代への最高の贈物となる。世界に誇る観光資源にもなる。
 景観政策の具体的な事業としては、思いつくだけでも、電線の地中化▽醜悪な看板の撤去▽商店街や道路への並木、花壇の整備▽美観に配慮したガードレールや護岸・・・・などがある。
 主観的な役割は、国ではなく自治体や民間が担わなければならない。多くの人たちや企業が知恵を出し、協力しあう中で、かなりの雇用拡大や内需振興につながるはずだ。
 かって日本には、白川郷のように何気ない農村風景にも絵になる景観があった。高度成長以降、日本橋の真上を高速道路がまたいでも平気なほど我々は鈍感になったが、大学で学生達を教えていると、最近の若い世代には豊かな感受性が戻っているように見える。"全治3年”のトンネルを抜けた先に"是非、素晴らしい景観を眺めたいものだ。


'09.3.5.朝日新聞・元経済企画庁長官・田中 秀征氏

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