散歩道<2836>
私の視点・財政出動・景観政策次世代のために(1) (1)〜(2)続く
昨年10〜12月期の実質経済成長率は年率換算でマイナス12.7%と、米欧と比べても郡を抜く落ち込みとなった。同期の需要不足は20兆円を超え、1〜3月期には30兆円に達すると予測される。大型の財政出動を求める声が一っ気に高まった。
巨額の需給ギャップの相当部分を公的需要(財政出動)で埋めることには、与野党ともに異論は少ないだろう。すでに20兆円、30兆円といった具体的な数字も語られている。だが、その前に重要なのは、財政出動の哲学や政策目標を明確にすることだ。特に今回は多額の国債発行を伴なうので、次の世代の理解と賛同は不可欠の条件である。
大原則は、将来にいきる財政出動、次世代のための財政出動であるべきだ。政府は有識者会議を設けて広く意見を聴くという。総花的にならないためにも首相がまず、目標や大枠を示すのが望ましい。
民間では今のところ、主要な目標が、雇用、医療、介護、教育、など生活基盤の強化と、環境、エネルギー、農業など成長基盤の強化の二つに絞られてきている感がある。次世代のための財政出動としていずれも異存はない。
ただ、私はもう一つ、第三の目標を提案したい。それは、国土の景観・美観を高めるための「景観政策」の展開である。
もう四半世紀も昔、首相になる前の故宮沢喜一氏は84年に資産倍増政策を発表、フロー(所得)からストック(資産)に政策的関心を向けようとした。
「給与が高くなくても家がウサギ小屋のようでは困る」が口癖の同氏は家や下水道などの「実物資産」の倍増を考えていた。私は当時、その立案にかかわり、景観・美観をめぐり幾度となく議論した。
'09.3.5.朝日新聞・元経済企画庁長官・田中 秀際征氏
関連記事:散歩道<594>、<1819>、<1863>、<195>発想を変える・1.公共工事(提案)、2.地震に耐える住宅建設を海外に(提案)