散歩道<2830>
時の肖像・漢字の変容・「懐かしい道連れ」とともに(1)
(1)〜(3)続く
このところ、漢字の世界にまつわる動きが目につく。
約四世紀半ぶりとなる常用漢字*1の見直しが、大詰めを迎えた。
追加される予定の191文字の中には、欝(うつ)や罵(ののしる)るのような手書きでは手ごわい文字が入っている。パソコンなどの情報機器の普及で、書けなくてもキーボードのキーを打てば出てくる文字が増えたことを映しているようだ。
パソコンで、奥深い漢字の世界に親しむ機会が増えるのはいいことだが、パソコンの普及には、漢字や日本語へのローマ字の関与が強まるという一面もある。パソコンに向かい、文章をつづる画面を開く。仮に「高い」と書くとする。よく見かけるローマ字による入力の場合、まず指先で「takaiyama」というキーを選んで押すことになる。頭の中にある「高い山」をいったんローマ字に変えて、かなの「たかいやま」を表示させ、更にパソコンの働きで変換して漢字混じりの文に戻す。漢字だけでなく、かなも含めて、日本語をつづるのに、そのつどローマ字化が起こる。いわばローマ字への「脳内変換」が、つねに行われている。
'09.2.23.朝日新聞・論説顧問・高橋 郁男氏
関連記事:散歩道<192>象形文字、<430>ピエログリフ、備考:ピエログリフで書いた「散歩道」、<727>*1新しい習字・盆栽、<2514>*1情報化に対応し常用漢字見直しへ
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