散歩道<2825>
opinion・資本主義はどこへ・競争と共生・協同考え新たな基幹産業を(1) (1)〜(3)続く
・・・内橋さんは市場万能、競争至上の新自由主義経済に異議を唱え、90年代から「このままでは雇用が破壊される」「社会のきずなが断たれる」と警鐘を鳴らしてました。現状をどう見ますか。
「今の日本は一番大事なものを失いました。それは、人間の尊厳と景気の自律的回復力です。これまでは景気が悪くなっても設備投資が動き出し、やがて働く人々の所得が増えて好況になった。しかし、日本はいびつな不均衡国家になってしまった。過剰な外需依存と格差拡大。簡単に職を奪われ、安心して消費も出来ず、景気変動に耐える大事な力を失ってしまったのです」
・・・なぜ極端な不均衡国家に。
「日本はグローバル化に『対応する』べきところを『適応する』ことばかり考えてきました。外資を稼いでもらおうとトヨタやソニーなど『グローバルズ』(日本型多国籍企業)に政策支援を集中させ、同時に国内ではリストラが進んだ。小泉構造改革の下で始まったいわゆる『いざなみ景気』の中で、製造業への派遣労働が自由化され、海外に進出していた工場が『日本回帰』と絶賛されてかえってきた。つまり国内でも低賃金で雇用できるようになり、輸出によって海外で稼ぎまくった。一方、多くの派遣労働者は社会保障の枠外に置かれ、クビを切られてている。賃金、社会保障、地方、農業、あらゆる面で格差が拡大した。グローバルズが稼いだ外貨は十分還元されず、米国の消費にすがることもできなくなって操業停止です」
・・・・雇用問題は深刻です。「市場万能システムでは人間は単なる労働力であり、経営者も景気の条件反射のように労働力を切る。もともと雇用を減らすのは最後の選択だから、たとえば雇われている人の数を示す雇用指数は、足元の景気よりやや遅れて動く『遅行指数』とされています。それが今や、景気の先行きを示す『先行指数』のような状況です」
'09.2.23.朝日新聞・経済評論家・内橋 克人さん
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