散歩道<2823>
opinion・資本主義はどこへ・アメリカ・「脱成長」で文化を楽しめ(2) (1)〜(3)続く
・・・資本主義が無限に拡張を求めるなら、資本主義経済は決して安定しないことになります。
「実体経済は、資本主義だけでは成り立たない。食料、労働力、医療、教育、資源・エネルギー、自然環境、道路や交通機関などの社会的インフラ、知識や情報といった広い意味での公共財は、市場のメカニズムに完全に組み込むべきではない。金融システムも本来公共的なもの。銀行がなければ我々は生活できない。そうした土台の上に「ゆったり資本主義経済が成立する」
「構造改革や新自由主義というのは、まさにその土台を商品化・市場化しようとした。金融を過度に市場化したことでバブルがおき、労働では派遣や格差問題が起きた。資源では、原油価格が乱高下する状況をまねいた。
・・・土台がしっかりしていれば、資本主義経済は安定すると。
「もともと欧州の資本主義はそうだった。公共的なものについては非常に厳しく規制する。フランスなどは、国内の需要を満たせばいいというブロック経済的な意識が強い。自動車産業でも、高品質・少量生産だったり、域外市場にさほど依存しなかったりするメーカーが欧州には残っている」
・・・・ただ欧州も、今回の危機からは逃れられませんでした。
「金融システムがアメリカ型になっていたからだ。本来、産業の脇役であるはずの金融が主役になってしまっていた。そのことへの反省が強く出てきている」
・・・佐伯さんは。今後の日本経済は「脱成長型」を目指すべきだと主張されていますね。
「現在の不況に対処するためには、ニューディル的な政策が必要だろう。国債を発行し、財政規模を大きくする。しかし、財政を拡大するだけでなく、将来に向けてインフラの整備に使うべきだ。安定した資本主義の土台を整備するチャンスでもある」
「極端な保護主義は必要ないが、グローバルな自由競争一辺倒でなく、解放経済の中で、できるだけ国内で経済を循環させる。過剰な生産能力を少しずつ落とし、長期的に軟着陸させる」
「ただ、そのためには国民の意識の変化が必要。小泉政治の最大の失敗は、政治を人気投票にしてしまったことだ。自民党も民主党も、次の選挙が怖いので、景気回復を唱えざるを得ない。国民がもっと長期的な視点で政治家を選ぶようにならないと、国内市場中心に低成長でやっていくという政策はとても出来ない」
'09.1.26.朝日新聞・京都大教授・佐伯 啓思さん
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