散歩道<2822>
                 opinion・資本主義はどこへ・アメリカ・「脱成長」で文化を楽しめ(1)                     (1)〜(3)続く

・・・佐伯さんは保守の立場から、グローバル経済に警鐘を鳴らし続けてきました。今回の経済危機の原因をどう見ていますか。
 「長期的に見ると、20世紀を通じて続けてきたアメリカ型資本主義による経済発展の行きずまりでしょう。資本主義の本質は、物的生産力を無限に拡張していくことにある。だが先進国では70〜80年代に社会が成熟段階に達してしまい、人々がさほどモノを欲しがらなくなった。その結果、製造業に投資しても大きな利潤がでないので、余ったカネを金融市場に集めてバブルを常に起こすことで、経済発展を主導するしかなかった」


○ ○危機は繰り返す
・・・・・それが今回破綻しました。先進国の中で、なぜアメリカが震源となったのでしょうか。 
 「短期的にはブッシュ政権の失敗。中期的には、80年代からの新自由主義、グローバリズムの破綻だ。さらに、アメリカという国の特性が関係している。常に豊かさを求め、豊かさを国民に配分し、アメリカドリームを供給し続けなくてはならない。自由や民主主義という政治的理念を具体的に実現するものが経済的豊かさなんです。くわえて、世界一の大国、覇権国家でなければならないという強迫的な使命感がある。その二つが、無限に拡張を求める資本主義をさらに加速させた」
・・・今後、アメリカの資本主義はどこへ向かうのでしょうか。
同じことを繰り返すのではないかなあ。アメリカ政府は危機を乗り切るために、巨額の資金を市場に投入しているが、あれは危機の先送りでしかない。すでにカネが過剰になっているところへ、さらにカネをつぎ込むわけだから、次のバブルは規模がより大きく、危機はもっと深刻になる」

'09.1.26.朝日新聞・京都大教授・佐伯 啓思さん

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