散歩道<2820>
                           opinion・世界経済・資本主義はどこへ(2)              (1)〜(3)続く
                                     多様な価値映す市場を

・・・・確かに資本主義は、様々なインセンティブで動いています。日本企業が今後、ますます海外に生産拠点を移す動機も十分にあり、その場合、日本と途上国の労働者が競合することになります。「海外移転は、緊急避難として、一時的には仕方ないことかもしれませんね。ただ長期的には、途上国と同じレベルで競合するのではなく、日本にはその上の段階へ上って途上国との間で互いに利益になる関係をつくってもらいたい。市場、あるいは資本主義というものは、我々に無限の可能性を与えてくれるのですから」
・・・・可能性を与えてくれる資本主義とは、どんなものですか。
「みんなが成果にあった評価と報酬を得られるというのが、資本主義の重要なところです。その上で、お金だけでない価値といったものに、きちんと市場で価格がつくようになると、本当は一番いい。そうした試みは実は表れてきていて、たとえば環境に配慮する企業の製品を買おうとか、途上国の製品を貧困削減や環境保護の努力に見合った『公正』な価格で買おうフェアトレードとか、あるいは児童労働させない企業が作ったボールを選ぶとか、そういうものに少し高いお金を払ってもいいと思うようになってきている。スリランカでゾウのふんと古紙から作られたノートや封筒は、人間とゾウとの共存関係をつくり出す試みとして人気が高く、結構高いのにいつも品薄です」「人びとが価値を生み出すものがきちんと価格に反映される市場が増えてくると資本主義にも広がりが出てくると思います。多面的な価値を繁栄させた市場を、どれだけ使い勝手のいいものにできるか、ということでしょう」
'09.1.19.朝日新聞・世界銀行スリランカ担当局長・石井 菜穂子さん