散歩道<2813>
仕事力・判断の核を育てよう(2) 自分流に纏めた (1)〜(3)続く
粘り強く未来を紡ぐしかない 日本の影響力の絵を描く
外交や交渉で大切なのは、偏見を持たずに俯瞰(ふかん)して大きく物を見る癖をつくることです。目の前で危機的な状況が起きている時、それをどう位置ずけるか。危機を機会として活用し、どのように道を開くか。いつも大局的な意識を忘れてはいけない。東南アジアの関係で日本の歴史問題など危機的な局面によくぶつかった時、しかし過去を過去として語っていたのでは、いつまでたっても「解」は得られません。過去を克服できるような未来のビジョンを語らなければ前へは進みません。目の前の一つのことだけにとらわれると身動きができません。それはアメリカとの経済交渉や、北朝鮮との交渉でもそうでした。それぞれの国で利益が異なるからです。しかし、もう少し時空を広げて中長期的な利益は何かと視点を変えていくと、五分五分の論理に持ち込めます。ウィンウィンの形をつくる事が外国交渉の鉄則です。また、一対一の交渉をしている場合でも、枠を広げて他の国の関係も見ていかなければならないのです。難しい問題ほど、実は機会として活用できる力を秘めていると思います。外交にクリエーティブという言葉は耳慣れないかもしれませんが、事実を見据えながらも潜在的な可能性や空気を読み、よりよい方向を探る仕事はまさに創造的です。外交官の行動は、勿論その結果が個人的なものではなく国の幸せに返ってくるものですから慎重に物事を運ぶのは当然ですが、国の未来のためにクリエーティブな発想が生きる仕事でもあるのです。
'09.2.8〜.2.15.朝日新聞・日本国際交流センターシニア・フェロー、田中 均氏
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