散歩道<2811>
耕論・品格ってなに(2) (1)〜(2)続く
レッテル貼って思考停止に
ただ今の「品格」の使われ方には、ちょっと気持ちが悪いものがありますね。朝青龍のガッツポーズに「品格」がないといって批判されるのは、何かちがうんじゃないか。「愛嬌がある」「喜びを素直に表している」とかいってもよかったのに、みんな「品格がない」と批判する。しっかりした価値観をもっていないから、品格がある、ないという二分法になってしまう。
社会全体がすぐに答えを求め、白黒をハッキリさせたがっている。特に若者にそれを感じます。世の中は白でも黒いでもない。灰色なんだから、自分で考えるというと、考えるのは嫌だと思考を停止してしまう。品格というレッテルを貼って、それで片づけたような気になる。
政治の言葉も、小泉さん以降、単純なワンフレーズが主体になっていますね。麻生さんも、「矜持」(きゅうじ)という一言で言い切ってしまう。わかりにくいのは受けないから、わかりやすくしようとする。
でも本来、政治というのは、曖昧な言葉で語られるべきなんです。みんなの利害が対立するから、白か黒かで割り切れるわけがない。だから、どちらとも取れる玉虫色の言葉を使う。昔の政治家は吉田茂も佐藤栄作も、みんなそうでした。それが成熟した知恵なんですね。でも最近は、世の中全体が未熟な言語世界に入っている。
「品格のある日本語」というのは、借り物ではなく、自分が一番よく知っている言葉で語られるものですよね。方言なんかはとても品格がある、流行語を取り入れただけではだめです。何でも品格、品格というのは、品格のある日本語ではないですよ。
'09.2.15.朝日新聞・杏林大教授・金田一 秀穂さん
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