散歩道<2810>
耕論・品格ってなに?(1) (1)〜(2)続く
レッテル貼って思考停止に
品格というのは、そんなに古い言葉ではなく、明治以降に広まったものでしょうね。
「品」は、有名*1だとか、地位が高いということを超えた価値を示す言葉です。お金が無くても品のある人はいますよね。「格」も、社会的な階層や具体的な地位を指すものではない。「格が違う」というときには、上下関係じゃなくて、その人が備えている威厳、オーラのようなものを「格」というわけです。
つまり「品格」は、俗世間とは違った価値観を示す言葉です。だから本来は、政治家とか実業家にはそぐわない。明治の人は、「あの首相には品格がある」と褒めたりしなかったでしょう。同じ意味で「国家」と「品格」もミスマッチな感じがしますね。
それなのに、なぜ「国家の品格」がもてはやされたのか。国家の価値が経済力でしか語られないから、「品格」のような精神的な言葉が新鮮に見えたんじゃないですか。いつの時代の流行語も、そのとき欠けているものを表している。80年代以降の流行語は、「こだわり」「癒やし」「清貧」とか、心に関係した言葉ばかりですよね。心にうつろな部分があるから、そういう言葉が求められる。
ここ数年の日本語の使われ方を見ると、伝統回帰的なものを感じます。漢字ブームが典型で、難しい漢字を知っていてもどうってことないんだけど、それを偉いと思う風潮がある。「品格」が受けたのもその一部かもしれません。
'09.2.15.朝日新聞・杏林大教授・金田一 秀穂さん
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