散歩道<2809>
耕論・品格ってなに?(2) (1)〜(2)続く
感情を律するのが本来の文化
大相撲初場所で 朝青龍関が優勝しましたね。絶対に負けないという気持ちは素晴らしい。でも、本来の日本の文化の中心には自分の感情を律するということがあります。感情を爆発させたてのガッツポーズは似合いません。柔道も同じです。国際試合で男女を問わず、こぶしを突き上げたりしますが、あれも違います。柔道は自らを鍛える道なのですから。勝者も敗者も互いへの賛辞をつつましやかに表現し、感情は律するのが、本来の姿です。それが消えてしまい、私たちの文化であったはずのものが、どこか異文化のようになってしまいました。
数年前に藤原正彦さんの「国家の品格」がベストセラーになりました。 藤原さんの「品格」からは強い自負と「誇り」が漂ってきます。かっての日本人の誇りもまた、自らを厳しく律することで凝縮されたと私は思います。誇りある振る舞いは、そのような深い内面の美意識から生まれてきます。だからこそ、あえて外に向かって胸を張らずとも、その美徳も誇りもおのずと他者の心に伝わるものではないでしょうか。
日本人の品格が国内の次元だけにとどまるのは、もったいない。環境問題で日本は21世紀の世界に貢献しょう、といいますね。温暖化防止の技術開発も重要ですが、同時に私たちは人間の心の環境整備に一役も二役も貢献できるはずです。自由も自由経済も大事。それを否定するわけではないけれども、そこには一国一国、一人ひとりの自制心が必要です。日本人の真の意味での品格を、世界に広げていくべきだと私は思います。
品格というガッツポーズや言葉遣いが話題になりがちですが、もっと大きな枠組みで地球の人々を幸せにできる価値観です、それこそが日本が打ち出すべきものですし、政治や外交、経済の舞台で実行してほしいですね。
'09.2.15.朝日新聞・ジャーナリスト・桜井 よしこさん