散歩道<2798>a 

                         経済気象台(412)・再建の近道

 米国の自動車メーカーが、政府支援による再建を模索している。だが、不況に苦しむ米社会の目は厳しい。公的資金投入が本当に再建につながり、社会の発展に役立つのか、疑問の声は大きい。
 経営者は襟を正し、再建策を説くが、支持は少ない。なぜなら、再建策の工場閉鎖や人員削減などは、過去何度も取り組んできた縮小策。それでは販売シエア低下がとまらなかったからだ。
 販売不振は金融危機がきっかけを作ったが、経営危機の半分以上は、自社製品の魅力低下によるもの。ところが、製品の魅力を支える地道な生産性の改善や、部品性能の向上努力は、投資家から高く評価されてこなかった。バイオやITに比べて投資回収速度が遅く、利益率も低いからだ。
 性急な投資効果を望む株主の要求に応じながら再建を果たすのは、不可能に近い。根本的な再生には、米国の企業評価システムそのものが変わる必要がある。金融破綻
(はたん)はよい契機ではあるが、経営危機はその変化を待ってくれない。
 結果として、日本を含む外国メーカーとの資本提携が、再建の近道ではないか。そのためには、経営権を外国企業に譲渡し、役員報酬や従業員の給与、社会保障などを、ゼロから見直す必要がある。資本参加する外国メーカーにも覚悟がいる。収益の多くを米国に依存するメーカーは多い。直接投資するかは別として、米自動車産業の発展に対する貢献のあり方が問われてる。
 米国市場の発展を優先的に享受できるのは、米国で生産する企業だが、それは外国企業であってもいい。逆に米国資本による再建にこだわるならば、米政府が支援策を上積みすべきだ。

'08.12.11.朝日新聞