散歩道<2784>
この危機 文明の転換期(2) ドビルパン前仏首相に朝日新聞のインタビュー (1)〜(4)続く
世界が直面する経済危機、ブッシュからオバマに移行した米国などを踏まえ「力の支配」の時代の終わりと、あるべき新しい理念の必要性について語られた。
イラク戦仏は「ノン」を通した
・・仏外相としてイラク戦争の回避に動いた時、正義は通用すると思っていましたか。
イラク戦争を巡る私たちの闘いは、結果がどうであれ遂行しなければならなかった。もちろん私たちは戦争が起きないことを望んだが、戦争が起きた時、それが国際的なお墨付きを得たものではないことを明確にする目的もあった。国連が戦争に同意していたら、国連の信用は失墜していただろう。戦争の責任は米国の一部の国にとどまる必要があった。世界を分断する争いにしてはならなかった。
欧州は米国支持で一枚岩ではなかったし、物事を力で解決する発想に傾いていたわけでもない。そのような欧州の実像を、私たちは守ることができた。
・・・当時、いつ「戦争は避けられない」とおもいましたか。
はっきり悟ったのは、国連安保理の外相級会合を翌日に控えた03年1月19日だった。その日私はパウエル米国務長官と会い、彼自身が戦争はさけられないと考えていると知った。
私が米国に警告を発しようと考えたのは、この日からだった。フランスは国際社会が戦争に引きづりこまれることを決して認めないこと、そのために拒否権行使も辞さないことを、はっきり告げようとした。戦争を防げなくても、この闘いは国際社会にとって、政治的にも文化的にも極めて重要だった。
・・・その結果、米仏関係が損なわれたとの指摘もあります。私は米国で育ち、米国で勉強し、米国に親愛と尊敬の念を抱いてきた。ただ、人生と歴史の中では「ノン」と言える時がなくてはならない。あの時フランスはその使命を担った。
'09年2月3日・朝日新聞・ドビルパン前仏首相