散歩道<2783>
この危機 文明の転換期(1) ドビルパン前仏首相に朝日新聞のインタビュー (1)〜(4)続く
世界が直面する経済危機、ブッシュからオバマに移行した米国などを踏まえ「力の支配」の時代の終わりと、あるべき新しい理念の必要性について語られた。
世界の共存正義の理念こそ必要
・・・世界はいま、金融危機に見舞われています。
前例のない規模の危機だ。「困難な時期を乗越えれば又景気がよくなる」という日本のバブル崩壊のような危機ではない。エネルギー、環境、食料などの枠組みを揺るがす長期的な「構造危機だ」。いまは文明の転換期だからだ。
5世紀にわたり欧米が支配していた世界の権力秩序が、巨大な国内市場を持つ中国やインドなど新興国の台頭で根本的に変わりつつある。そのなかで、共存のための規則を築く必要がある。新しい世界秩序には、新しい理念が必要だ。
この10年間は、ブッシュ米政権とネオコン(新保守主義者)による「力の支配」だった。9・11テロの恐怖がもたらした発想で、力で世界秩序を築き、平和も創出しようとした。だが、これは成就しなかった。新たな理念は何か。私は「正義」であるべきだと考える。
不正義は暴力の源、テロの背景となる。不安定を助長し、ストレスを高め、屈辱心を植え付ける。苦しむ人々について知り、不正義の存在に気づくことが、変化につながる。不正義をただすことで「身勝手な力が世界を支配する時代は終わった」と内外に示すことができる。
・・・どのように「正義」を新理念として実現させますか。
今回の危機は、世界が一つだという感覚や地球共同体の意識を目覚めさせるきっかけになるかもしれない。今後の世界的ガバナンスの基礎として国連の正当性をもっと高める必要がある。国連が真に世界を代表するシステムとなるよう、安保理の常任、非常任理事国を拡大し、力のあるすべての国が発言権を持つように改革すべきだ。
国際通貨基金(IMF)や世銀、欧州中央銀行、米連邦準備制度理事会などそれぞれの活動が世界全体の利益となるよう調整する「経済安保理」の創設など、国連の組織も強化すべきだ。紛争解決力を持つ軍隊も国連に必要だ。
'09年2月3日・朝日新聞・ドビルパン前仏首相
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