散歩道<2764>
                           オバマ大統領就任演説(3)            (1)〜(4)続く

私たちの多様性強み  B手をさしのべる
 先人たちがファシズムと共産主義を屈服させたのは、ミサイルや戦車によってだけではなく、頼もしい同盟国と強固な信念によってでもあることを思いおこして欲しい。彼らは自らの力だけが自分たちを守ったのではないことも、その力が、自分達が好きなように振舞う資格を与えたのでもないことを理解していた。その代わりに先人たちは、自らの力は慎重に使うことで増大し、自らの安全は、大儀の正しさ、模範を示す力、謙虚さと自制心から生まれると知っていた。私たちは、その遺産の継承者だ。いま一度こうした原理に導かれることにより、私たちはより厳しい努力、つまり、より強固な国際協力と理解を必要とする新たな脅威にも立ち向かうことができる。
 私たちは、責任ある形でイラクをその国民の手に委ねる過程を開始し、アフガニスタンの平和構築を始める。また古くからの友好国とかっての敵対国とともに、核の脅威を減らし、地球温暖化の恐れを巻戻す不断の努力を行う。
 私たちは私たちの生き方を曲げることはなく、それを守ることに迷いもしない。自分たちの目的を進めるためにテロを引き起こし、罪の無い人々を虐殺しようとする者にたいし、私たちは言おう。いま私たちの精神は一層強固であり、くじけることはない。先に倒れるのは君たちだ。私たちは君たちを打ち負かす。なぜなら、私たちの多様性という遺産は、強みであり、弱点ではないからだ。私たちの国はキリスト教徒、イスラム教徒、ユダヤ教徒、ヒンドウー教徒、そして無宗教者からなる国家だ。世界のあらゆるところから集められた全ての言語と文化に形作られたのが私たちだ。
 私たちは南北戦争と人種隔離という苦い経験をし、その暗い歴史の1章から、より強く、より結束した形で抜けだした。それがゆえに我々は信じる。古い憎悪はいつか過ぎ去ることを。種族的な境界はまもなく消え去ることを。世界がより小さくなるにつれて、共通の人間性が姿を現すことを。そして、アメリカは、新たな平和の時代を導く役割を果たさなければならないことを。
 イスラム世界に対して、私たちは、共通の利益と相互の尊敬に基づき、新たな道を模索する。紛争の種をまき、自分の社会の問題を西洋のせいにする国々の指導者に対しては、国民は、破壊するものではなく、築き上げるものであなたたちを判断することを知るべきだと言いたい。
 腐敗と謀略、反対者の抑圧によって権力にしがみついている者たちは、歴史の誤った側にいることに気づくべきだ。そして、握り締めたそのこぶしを開くのなら、私たちが手をさしのべることを知るべきだ。
 貧しい国の人々に対しては、農場を豊かにし、清潔な水が流れるようにし、飢えた体と心をいやすためにあなた方とともに働くことを約束する。
 そして、米国同様に比較的豊かな国には、私たちはもはや国外の苦難に無関心でいることは許されないし、また影響を考えずに世界の資源を消費することも許されない。と言わなければならない。世界が変わったのだから、それに伴なって私たちも変わらなければならない。
 私たちの前に現れた任務を考えるとき、つつましい感謝の気持ちとともに、いまこの瞬間にもはるかな砂漠や山々をパトロールしている勇敢な米軍人たちを思い起こす。
 アーリントン墓地に眠る戦死した英雄たちの、時代を超えたささやきと同じように、かれらには、私たちに語り掛けたいことがあるはずだ。私たちが彼らの敬意を表すのは、彼らが私たちの自由の守護者だからというだけでなく、彼らが奉仕の精神の体現者、つまり自分自身より大切なものに意味を見いだそうとしているからだ。そして今、一つの時代が形作られようとしている今、私たちすべてが抱かなければならないのがこの精神だ。

'09.1.22.朝日新聞、
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