散歩道<2758>

                             本当に苦しむ死に直面(2)                     (1)〜(3)続く
                 生命の奇跡の重なりの上にある  「神なしの境地」が理想の行き方

・・・・最初入院したのが40年前。その後も様々な病気で入院や手術を繰り返されました。
 今はベッドの上で寝たり、起きたりの生活。脊椎の8カ所がつぶれ、長時間座っていられませんが、調子が良い時は午前と午後に40〜50分づつベッドわきのパソコンに向かいます。
・・・・ご自身も10年前には尊厳死を考えたそうですね。
 激しい腹痛に不整脈で心臓が苦しく、一刻も早く苦痛から解放されたい気持ちでした。食べ物も飲み込めず、点滴で栄養を流し込まれて、動物なら生きていられないのに、ただ生かされているのは不自然。夫や主治医にチュウブを外すようお願いしました。でも娘の動揺が激しく、こんなに私に頼っていたのかと知り、思いとどまりました。命は自分だけのものではない、と改めて気づきました。
・・・・「いのちの教育」の大事さも強調されていますね。自殺者が10年連続で3万人を超え、無差別殺傷事件も目立つ。こんな世相をどう見ていますか。
 生命は40億年近いリレーの中で、地球が火の海になったり、凍結したりして何回も絶滅の危機に遭いながら、切り抜けてきました。奇跡の重なりの上に、いま私たちは生きています。命の尊さを知り、地球に生きていることの不思議さに対して謙虚になること。その姿勢を教えないと、人は成熟できません。

'09.1.16.朝日新聞・生命科学者・柳澤 桂子さん

関連記事:散歩道<337>脳に関して・本能と学習能力、<341>根深いもの戦争(2)、