散歩道<2756>
opinion・資本主義はどこへ・消費(3)・志向の共同体 求める (1)〜(3)続く
基礎は市場経済
・・・自由と規律の両方が必要というわけですね。
「日本でも、とにかく規制をなくせ、自由にすれば必ずよくなる、中途半端だからいけない、という論者がいます。これだけ経済がひどくなった今も言っている。でも、あれは毛生え薬売りと同じじゃないかな。『つけたのに髪がなくなった』と客が文句を言ったら、『いや、この薬をつけていなければ、もっと早く髪がなくなっtいたはずだ』って。これではインチキ商売と同じでしょう」
・・・・一人ひとりの趣味志向が異なる「選別消費」の時代、社会はどう変わっていくと考えますか。
「そうですね・・・共同体の再評価、でしょうか。といっても、昔の隣組とか村落共同体の復活ではありません。これは、かっての進歩派には禁句でした。人間は何らかの共同体を探し求めます。最小のものとして家庭の復興,再建があるのではないでしょうか」
「もう一つは、ある種のファンクラブ的な集まりです。それほど有名ではないシンガー・ソングライターやバンドに、熱心なファンの人たちがいます。情報を交換したり一緒に活動したり、そういうイメージです」
「先日、宝塚劇場を久し振りに見ました。占領期に活躍した白州次郎*1を扱った舞台です。白州役のスターが出てくると、うわーっと拍手が起きる。白州次郎って若い女性に人気なんだなと思ったら、全然違ってました。次にマッカーサー*2役のスターが出てくると、別の人たちが大きな拍手を送る。役者さんそれぞれにファンがいて、それぞれお目当てのスターに歓声を上げるんですね。あれも一種の共同体でしょう。趣味や志向が共通な人たちの集団です」
「一方、政党や職場、労働組合など、既存の共同体はすっかり魅力と信用をなくしてしまいました。こちらの復活は難しい」
・・・不況はいずれ終わります。その後の世界における日本の位置づけはどうなりますか。あるいはどうなるべきだと考えますか。
「アメリカと欧州連合(EU)はそれぞれ極として残るでしょう。新しく中国も。インドはわかりません。日本は極にはなっていないでしょうし、私はならなくていいと思っています。今より小さい、でも絶対平和という理念を強く打ち出すことで独自性を発揮する、どこの極にも属さない国。日本は本質的に通商国家です。良質な製品を作って、貿易で成り立っていく、それこそが、本来の、日本の生きていく道でしょう」
'09.1.12.朝日新聞・詩人・作家・辻井 喬さん
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