散歩路<275>

                仕事力
ジェムズ・ラブロック・仕事について(1)100年の視野で進む         (1)〜(2)続く

 地球は自ら生きようとしているタフでやさしい生命体です。この天体の中で地球だけが40億年の間20数%の酸素を出しつづけている。人は地球の主人公ではありません。この酸素量がわずかに変化しただけでも地球上の生物は決定的な打撃を受けますが長い地球上の歴史の中で、どのような気象変化や変動がおきても酸素量は神様の神業のようにバランスを保ちつづけてきました。おそらく地球上の全ての生命が大きな自己調整システムのような働きに関与し、生命の流れを維持するように存在しているのです。(例え悪い方向に向かっているからといって、即物的に治療したりコントールしようなどと考えてはいけません常に地球の大きな生命の流れに沿って決断すべきです。地球には資源に限りがあり、しかし、入手した生活を過去に戻すことは出来ません。その葛藤する時代にあってどのようようにして人類と文明を保存するかです。まず向こう100年の間、人類を襲うであろう大きな災害や不幸に対してどう予想し、いかに対応するか。どのように立ち直るか。それができるのは高い文明があるかどうかです。私は日本という国が築いてきた文明が、世界に対し模範になれる可能性を感じています。海に囲まれ、土地が狭く、さまざまな制約がある中で高い文明を築き、経済的に成功し、人々の暮らしは豊である。日本には資源がなくても、1億人を越える人が飢えることなく、生命を全うしていく知恵がある、その知恵を伝える使命が日本の仕事の一つです。IT技術の発展への寄与は地球環境への負荷を減らす。日本の伝統工芸や製品作りの技のように、 一つの品を大切に愛し、息き長く生活の中で使い続けることの合理性や、すぐれた知恵はエネルギーの消費を減らす。私は生物物理学者として地球や人類生命への負荷を理論的に考える時、人間の知恵は必死でエネルギーの効率的な使いこなしを判断するのではないかと予想しています。私達の暮らしの中には欠くことが出来ないものは多くあります。それを放棄したり、あきらめたり、感情的に押さえ込むのではなく、替ええられる方法を探しもとめること。蓄えてきた文明の中から発想して、新たな100年の可能性を人類に与える仕事を、あなたの立場で考えるべきです。(小さい頃からの自然との接触の経験は森の木も水も、動物も昆虫も生物として人間の仲間であることを体で分かるには、子供時代の経験が非常に必要です。環境への配慮できる成人を育て、人間が地球を支配したり、コントールしたりするのではないと体でわかる人を送り出してください。人間が生命体としての自然の一部であることを知れば、子供は直感でしてはいいこと、してはいけないことを判断していきます)。かって私達はフロンと言う物質を大量に大気中に輩出し、オゾン層まで破壊する所業を行いました。自動車のクーラーや冷蔵庫という文明の快適さと引き換えに。これからは排出しない技術開発と同時に、すでに大気中にあるフロンの処理技術の開発が重要なことは明らかです。産業文明を放棄すればいいというように、感情的、懐疑的、短絡的に成らないでほしい。産業文明を放棄すれば地球上のごく一部の人より生き残れないでしょう。産業文明は人類の糧です。しかも自己改革を続け、汚染を出さない低消費構造の謙虚な文明に自覚めています。

'04.2.2-2.23・朝日新聞.