散歩道<2748>
                  世界変動・危機の中で(4)対テロ戦争は恐怖を政治の道具にした                     (1)〜(4)続く
                            傷ついた「自由」修復を

傷ついた「自由」修復を

・・・・同じように危機の時代の指導者だったルーズベルト大統領は「欠乏からの自由」や「恐怖からの自由」を唱えました。
 「ブッシュ政権と対照的だ。ルーズベルトは恐怖というものは、経済や社会にとってマイナスと考えていた。恐怖は自由の敵なのだ。人は恐怖心にとらわれているとき、個人の自由を制約する政策を受け入れてしまう。ブッシュ政権が行ったのはまさにそれだ。対テロ戦争を強調して、恐怖をあおり、恐怖心を政治の道具にした」
 「私は冷戦が厳しかった50年代に育ったが、当時の方がはるかに米国は危険にさらされていた。もし、ソ蓮との対決が熱核戦争に発展すれば、人類の生存そのものが脅かされるという状況だった。しかし、こんなに恐怖心をあおることはなかった。結局、ブッシュ氏は9・11から米国にとって積極的なものを引き出すことができなかった」
・・・・今回の大統領選は歴史の節目になりますか。
 「まだ評価するのは早いかもしれないが、レーガン時代以来続いた米国の保守主義のエネルギーが切れてしまったように思う。現代の保守主義は、フェニミズムや公民権運動など60年代の進歩的な動きに対する反動だった。60年代の戦いをもう一度戦い直していた。ところがいつまでも昔の戦いは続かない。若いオバマの登場で、今回の選挙は60年代を超えてしまった。保守主義は新たなビジョンを探さねばならないともう。
・・・・新政権誕生で世界と米国の危機は克服される道が開けるでしょうか。
 「大統領が交代するだけで問題が解決するわけではない。米国が抱えている課題の困難さは同じだ。誰が米大統領になっても、超大国を運営する難しさは変わらない。米大統領は世界中に影響力を行使する立場に立つ。小国を統治するように、控えめというわけにはいかないのだ。要は、その影響力をどう使うかだ。単独行動主義的に進めるのか、国連など多国間の枠組みを活用するかだろう」

'09.1.12.朝日新聞・歴史家・コロンビア大教授・エリック・フォーナー氏