散歩道<2747>
                 世界変動・危機の中で(3)・ 対テロ戦争は恐怖を政治の道具にした                (1)〜(4)続く
                            傷ついた「自由」修復を

傷ついた「自由」修復を

・・・・経済危機のさなか、昨年11月の米大統領で民主党のオバマ氏が当選しました。
 「今回の選挙で興味深かったのは、オバマ、マケイン両候補とも、『自由』を真正面から論じなかったことだ。自由の概念を重んじてきた米国の歴史において、これは非常に珍らしいことだ」
 「自由という言葉の価値がそれだけ傷ついたからだろう。冷戦後、自由な市場、自由な個人に任せればすべてうまくいくという考え方が支配的だったが、国際金融危機で崩れさってしまった」
 「また、イラク戦争は『イラクの自由作戦』という名前で戦われた。自由が侵略の口実に使われたのだ。オバマ新大統領は、この傷ついた自由の概念を修復し、再構築しなければならない」
・・・・どうすれば可能ですか。
 「自由には、外部からの制約がないという意味での消極的自由と、各人が自己実現できる状況をつくるという意味での積極的自由のふたつがある。校舎は共同体的なもの、公共の利益を求めるものだ。近年の米国で主流だった消極的自由は、すっかり行き詰ってしまった。今日の状況をみると、経済的な安全保障もまた、社会が守るべき自由の一部だと考えるべきだろう。積極的自由の考え方をとる必要がある。
・・・・消極的自由といえば、9・11直後、ブッシュ大統領が「いつも通りの買い物を続けなさい」と言いましたね。
 「あの危機に直面したときに、米国民の多くは、犠牲をはらって国に協力しようとした。しかし、ブッシュ大統領は、個人の自由な消費が景気を促進するということだけを訴えていた。消極的自由の枠だけで考えている限り、個人を超える発想は出てこない」

'09.1.12.朝日新聞・歴史家・コロンビア大教授・エリック・フォーナー氏