散歩道<2746>
                    世界変動・危機の中で(2)市場の維持には国家の介入が必要                    (1)〜(4)続く
                         信頼再生へ政治の出番   

信頼再生へ政治の出番

・・・・この危機にあたって、何が必要とお考えですか。
 「90年代、政治家が何かを決断するより、市場に任せた方が賢明だという風潮が支配的だった。しかし危機に際しては『重大な政治決定』が必要だ。経済危機だけでなく、この10年の間に環境、食料、貧困などをめぐる問題は急速に悪化している,再び政治の出番が来ている」
 「その際、1929年からの世界大恐慌の後に、ヒットラーが危機の原因を『ユダヤ人の陰謀』などと解釈し、不幸にも人々がそれを受入れた歴史を忘れてはならない。同時に、中央に権限を集中させる社会主義システムが、資本主義より機能しなかった歴史も忘れてはならない」
・・・オバマ新政権への期待が高まっています。
 「ブッシュ大統領は、今回の金融危機で、9・11の時と同じレトリックの演説をした。米国は国家的な危機にあり、今団結しよう、と。今はこうした軍隊式の国民動員は無意味だ。『敵』はわれわれのシステム自体かもしれないのだから。それに対し、オバマ氏は、問題が単純には解決しないことを伝え、『政治の再生』を訴えようとしている。より賢明だ」
・・・・金融規制などで国際協調の必要はありませんか。
 「今回の危機で明らかになったのは、資本主義の全システムが『信頼』の一点に支えられているということだ。信頼が崩れたら資本主義は破局を迎える。(戦後の国際金融の基本になった)『ブレトンウッズ体制』に代わる仕組みが必要だが、それはより政治的なシステムであるべきだ。人々に信頼を与え、市場を組織化し、制御可能なものとするべきだろう」
 「世界システムは、米国の一極支配から、多極化に向けて代わりつつある。今は、冷戦時代のような明確なルールがない、ここでも、国際社会には政治決定のよる信頼性の回復が必要だ。

'09.1.12.朝日新聞・哲学者・スラボイ・ジジェク氏