散歩道<2745>
                   世界変動・危機の中で(1)市場の維持には国家の介入が必要                    (1)〜(4)続く
                            信頼再生へ政治の出番   

信頼再生へ政治の出番
・・・・今回の金融危機をどう受け止めますか
89年にベルリンの壁が崩れたとき『社会主義は』という夢が終わった。代わりに登場したのが『自由主義』と『リベラル民主主義』の結びつきという新しい夢だった。90年代のグローバル化を通じて、この夢が世界に広がった」「今世紀のほぼ10年で明らかになったのは、この新しいユートピアも終わったということだ。まず01年9月11日に(米国への同時多発テロで)『世界に広がるリベラル民主主義』という側面が象徴的な意味で終わりを迎えた。世界中で国々や人々を隔てる新しい『壁』が生まれた。イスラエルとガザの間には文字通りの壁が建てられ、米国とメキシコの間には、不法移民を防ぐフェンスが築かれた」「第二に、08年の金融危機が教えたことは『市場万能の資本主義』という他の半面も破綻したということだ。私たちは、市場を維持するためにさえ、強大な国家の介入が必要という現実を目にしている。グローバル化で市場が統合され、国家の役割は縮小するといいう説は正しくない」
・・・・成熟した資本主義でも国家の役割は消えない、と。 
 「米国では、規制緩和を推し進めたレーガン政権、最近のブッシュ政権下でも、いつも政治が経済に介入してきた。『政治から中立な市場』というのは幻想に過ぎない」
 「たとえばアフリカのアリでは、南部の綿栽培と北部の牛飼育が二大産業だったが、『市場開放で』大きな打撃を受けた。米国は自国の綿栽培業者にマリの国家財政を上回る補助を与えて、EU(欧州連合)は牛一頭ごとに年500
ーロ(約6万円)の財政支援をしている。マリ政府は『援助や支援は要らない。ただ、われわれに求めた市場開放を、欧米にもあてはめて欲しい』と訴えている。自由市場というのは幻想で、これまでも各国は、自国優先の原則で行動してきた」

'09.1.12.朝日新聞・哲学者・スラボイ・ジジェク氏