散歩道<2738>
           
                      世界の変動・危機の中で・米「強欲主義」曲がり角(3)                (1)〜(4)続く
          1、巨額の報酬の放置、ビジネススクールも反省、2、「勝者は報われて当然、大リーガーのように」、3、新しい経営者像、模索の動き

2、「勝者は報われて当然、大リーガーのように」、

 戦後の日本では、「高度成長のもとで企業が拡大し、事業の再構築の判断を迫られることもなかった」(一橋大米倉誠一郎教授)。経営のプロは出にくく、報酬も抑えられて来た。
 だが、その日本でも企業はバブル経済に踊り、90年代以降の長期不況では「サラリーマン社長」の決断力の弱さや、専門分野の「プロ」と言える人材の不足が問題視されてきた。報酬を抑えさえすれば経営がうまういくともいえないようだ。

3、新しい経営者像、模索の動き
 危機を受けて、報酬のあり方の再検討も始まっている。
 投資銀行より商業銀行に近くなった名門モルガン・スターンレーは昨年12月中旬、中堅クラス以上の社員の雇用契約に新しい項目を付け加えた。
 「クローバック(回収)」上項。会社が社員のボーナスの一部を3年間預り、その間に社員が手がけた取引で巨額な損失が発生したら、そのまま回収する仕組みだ。目先の利益拡大を追う経営を変えようという狙いだ。
 経営悪化で60億
スイスフラン(約5千億円)の公的支援を受けたスイスのUBSも、08年10月末にボーナスの大半を翌年以降に繰り延べる制度の導入を決めた。経営幹部が対象で、業績がいい年でも支払われるのはボーナスの3分の1まで。残りは将来業績が落ちた時のために蓄えられる。欧州では政府レベルでの報酬見直しの動きが目立つ。
 かっては米国流の競争一辺倒と一線を画してきた欧州では、グローバル化とともに米国型賃金が導入され、経営者の報酬は高等した。
 典型例は、98年に米クライスラーと合併したドイツ自動車大手のダイムラー。
フンボルト大学のシュバルバッハ教授によれば、97年の経営幹部の平均報酬は従業員の21倍だった。それが98年には42倍、07年には52倍になった。

'09.1.9.朝日新聞