散歩道<2737>
世界の変動・危機の中で・米「強欲主義」曲がり角(2) (1)〜(4)続く
1、巨額の報酬の放置、ビジネススクールも反省、2、「勝者は報われて当然、大リーガーのように」、3、新しい経営者像、模索の動き、
2、「勝者は報われて当然、大リーガーのように」
米国の高額報酬は、金融界に限らない。なぜ、そんな慣わしが生まれたのか。
きっかけの一つは,80年代に米経済界に吹き荒れた企業合併・買収(M&A)の嵐だ。敵対的買収を跳ね返すには株価を上げるのが早道だ。経営者を株価の上昇に熱心にさせるにはどうしたらよいか。そこで登場したのが、あらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利(ストックオプション)を経営陣に与える手法だ。
この権利をもてば、株価が上れば上るほど大金を手にできる。経営に株価至上主義が広がり、右肩上がりの株式相場とともに、経営者の報酬もうなぎのぼりになった。
経済のグローバル化も後押しした。国境を越えてビジネスを展開するCEOの責任は格段に重くなり、「高額」が容認されるようになった。
「厳しい出世競争に勝ち抜いた者、トーナメントの勝者は報われて当然。大リーガーの選手のように高額でもいい、というわけだ」。企業統治に詳しいペンシルベニア大学のデービッド・スキール教授はこう説明する。
米国では90年代半ばからは、幹部の一人の報酬内容が詳細に開示されるようになった。「社会の目を気にして報酬が下がったかといえば、逆に増えた。ライバル会社と比べて少なかったたら上乗せするという、まさに競争原理が働いた」と米コンサルタント会社、タワーズペリンの阿部直彦駐日代表は苦笑する。
「米国では報酬の多い少ないが、、社会的認知度を測る重要な指標になっている。「勲章みたいなものだ」。だから、CEOのトップ集団では、一生かけても使い切れない報酬がまかり通る。
対して日本。
「給与が安い」。05年にソニーの会長兼CEOについたハワード・ストリンガ−氏は、前任の出井伸之氏から引継ぎを打診されたとき、こうもらしたという。ソニーの役員の07年の平均報酬は約3億円。日本では最高クラスだが、米大企業なら驚く額ではない。
タワーズペリンによると、日本企業(売上高1兆円以上)のCEOの標準的な報酬はストックオプションなどを含めても1億3500万円にとどまる。
'09.1.9.朝日新聞