散歩道<2731>
社説・混迷の中で考える(3) (1)〜(3)続く
たくましい政治が要る
いま直面しているのは、世界的な金融システムの行き詰まりと、様々な矛盾を抱えて立ち往生している国内の経済財政システムの行き詰まりとが重なった、複合的な危機だ。その克服は、もう一度日本を作り直すくらいの大仕事になる。しかも,黒船や敗戦といった外からの力によることなく、みずから知恵と力で、この荷を背負わなければならない。
国民が望んでいるのは、小手先の雇用や景気対策を超えた大胆なビジョンと、それを実行する政治の力だ。
ひたすら成長優先できた時代がとうに終わり、価値感が大きく変化するなかで、どんな国をつくっていくか。それは「環境大国」でも「教育大国」でも「福祉大国」でもありうるだろう。将来を見据えた国づくりに集中して資源を投下し、雇用を創出する。そうしたたくましい政治が要るのだ。
世界の秩序も、これまでの米国一極支配が終わり、中国やインドを含む「多頭世界」が現れつつある。経済危機に対処し、地球環境を守るための国際連携がますます重要になる。政治はおちおちとしていられない。
米国民は、市場原理主義と金融バブルで生じたゆがみを是正する役目をオバマ次期大統領に託し、彼と肩を組んで危機を乗越えようとしている。
日本でも、今年の総選挙がそうした場になるだろうか。冷戦後の20年間、バブルの絶頂からこの不穏な年明けまで翻弄(ほんろう)され続けた日本。有権者の視線はかってなく厳しいはずだ。
'09.1.1.朝日新聞、